展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2011年 6月 11日 |
庄司達は、1960年代より布を素材とした造形作品やインスタレーションを展開してきました。「赤い布による空間シリーズ」や「CROTH BEHINDシリーズ」など、大きな布を天井から下がる無数の糸で吊るした作品や、布が裂ける限界ギリギリまで生地を引っ張った作品など、柔らかな布の持つ特性を生かした表現をしてきた美術作家として知られています。
今回の個展「空間軸の内と外2011」は、会場内に布と竹を用いて環境空間の表現に重点をおいた作品となります。
空間軸の内と外シリーズ作品について 布の空間の中への新たな竹材の使用は、空間表現の拡大を考えてのことである。1986年以来、布による空間そのものの表現を追及して来たが、現在は表現する空間の中に人々が参加することを考慮した、環境的空間の表現にウエイトがかかっている。竹材使用への期待はこのことと密接に関係している。
布はそれ自体では自立せず、重力に従順な性質が特徴であり、物に従い下方に垂れる。布を拡げれば物を覆い、空間を前後に、又上下に遮断する。しかし竹材は線的要素が基本なので、それを並べて空中で交差させたとしても布のように空間を遮断したり覆ったりして向こう側が見えなくなることはない。
丸竹を割って内側の肉を削り落とせば、柔軟さと張りのあるカーブが得られる。竹を空間上に並べれば視点の移動を誘う巨大な曲面の壁、向こう側が見える壁が生まれる
今まで、私は糸や紐で布の張りやカーブを自由にコントロールし、木の棒という圧縮構造材を布に触れさせて、その緊張や起伏を強調してきた。しかし現在では、素材同士を直接触れさせることなく、布の本来の自然な姿を生かし、竹は柔軟でシャープな特徴を発揮させて、空間の複合性を追及しようと考えている。
今回のテーマ「空間軸の内と外」とした私の関心は、布と竹の各々が保有する固有の空間が、観客の参加を介して交差する場を創ることなのである。 2011年4月 庄司 達
全文提供: ギャラリー16
会期: 2011年6月16日(木)-2011年7月2日(土) 会場: ギャラリー16
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最終更新 2011年 6月 16日 |