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多田ユウコ:山遊鹿々人々図
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 6月 09日

Copyright© Yuko Tada | 画像提供:galleryMain

作家コメント
私の実家は大阪のとある小さな神社に奉仕しています。

私は幼少の頃より神社の境内で遊び、様々なまつりごとや神楽などに触れ、自然と日本独自の文化と空間の概念の中で 育ちました。それが私にとっては当たり前の事でしたが、芸術大学で現代美術について学ぶ折、必然的に「自分のアイ デンティティー」と向き合う事となりました。自らを振り返ってみると、幼少の頃からの環境が、私自身のアイデンティティーを形成していると思われました。そこで、なんとなく不思議に感じていた神社の境内の仕組み、狛犬の意味、神道の意味等々に興味を持ち、本で調べて行くうちに、日本の伝統文化や芸能にも通ずる日本独特の空間概念がある事に気が付きました。それは「間」「余韻」「余白」といわれるもので、” 無” である事、” 何もない” 空間や時間に対する概念です。

その扱い方を知っているのはおそらく日本人だけなのではないでしょうか?

古くからの日本の伝統芸能である能や雅楽における「間」。日本画や浮世絵の空間構成。芸術だけでなく、「間」の感覚はおそらく日本人の生活の細部に染み渡っていて、気が付かないほど些細なこと。例えば外国人は一本締めが出来ないそうです。私は日本人特有のこの「間」の感覚を大切にしたいと考えます。写真は、ある意味「間」を切り取る手段です。

写真という表現方法を用いて、その可能性を探ってみることが私の課題です。

山遊鹿々人々図(さんゆうしかじかひとびとず)
千年以上もの間、鹿達が暮らしている奈良の若草山。
古くから神の使いとして半野生の暮らしを尊重され、大切に保護されてきました。
若草山には、古都奈良の風景と観光を楽しむ人々がたくさん訪れます。そんな人々に少しの警戒心を持ちつつも、興味 を示してくる鹿達。人と鹿と風景が、古都の持つ独特の時間軸と渾然一体となり、それらの事象が、等しくいとしく感じられる空間を築いているように思います。
空は近く、鹿の時間がゆっくり流れ、そこにはある種のユートピアがありました。

★また、今回の個展の為に制作した同テーマでの映像作品を2F にて発表致します。

多田 ユウコ (Tada Yuko)
1974 大阪府生まれ
1998 大阪芸術大学美術学科卒業
2003 写真表現大学研究ゼミ終了展覧会
2004 第12 回プリンツ21 グランプリ展2004 入選
2004 2004 年度 Mio 写真奨励賞 入選
2007 2007 年度 Mio 写真奨励賞 10 周年記念作品賞受賞
2008 第9 回 上野彦馬賞 日本写真芸術学会奨励賞受賞
多田ユウコ写真事務所主催、主に建築写真の撮影をしています。

主な展覧会
2004 個展「たまのをと」(The Third Gallery Aya)
2007 2007 年度Mio 写真奨励賞10 周年記念作品賞受賞 「山遊鹿々人々図」(天王寺MIO ホールにて個展)
2008 個展「水にとける」 (81 LAB.GALLERY)
2009 田中共子・多田ユウコ二人展「工芸へのアプローチ」(ラ・ガルリ)
2009 個展「空遊書画」 (The Third Gallery Aya)
2010 個展「山遊鹿々人々図」 (The Third Gallery Aya)
その他グループ展多数。

全文提供: galleryMain


会期: 2011年6月3日(金)-2011年6月12日(日)水曜日休廊
会場: galleryMain

最終更新 2011年 6月 03日
 

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