白井里美:Making Believe |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 1月 29日 |
『戸や窓をくりぬいて家は出来ている。その無の空間にこそ家としての有用性があるのだ。』 白井里美は写真の制作を続けるために、厳しい批評の場であるニューヨークへと移り住んだ。彼女の作品は「家」を探求することからはじまる。内部と外部という言葉の意味を十分に考えることからはじめ、夢のような理想と自己投影を結びつける。その彼女の試みは、最新のドールハウスの作品に見て取ることができる。 彼女の写真は、それぞれがアイディアを与えたり変化させたりしながら、お互いに影響し合ったり排斥し合ったりするものである。明確なゴールを設定しながらも、あるがままに写真を発展させておき、作品を編集して作り込み、評価する、といったプロセスは後で行う。作品「make believe」に見られる部屋は、私たちにこのような問いを投げかけている。私たちの子ども時代の夢や目標が、実際にどれほど日常生活へと姿を変えているのか、または、部屋とは私たちが人生の中で動かされ達成してきたものを表しうるものなのか。現在、彼女は若い移住者をモデルにして、「知人」という枠の中で何が起こるのかを探求しながらも、部屋についてはわざと自由にしたままで作品を制作している。 最新作では、彼女は「人々の家」のイメージに従って、さらなる混乱のうちに配置された、夢と生活用品であふれたモデルルームを作り上げている。彼女が提起する問題とは、所在地、獲得したもの、快適さ、欲望、自己満足、充足感とは何か、そして、これらの外的な抑圧と価値観を人々はどのように部屋へと組み込んでいくのか、ということである。大人になってから離れた土地へ引越したり、極端な生活を選んだことは、子どもの時に無邪気に想像した自分の将来と、どのように影響しあっているのだろうか?何によって家という感覚はつくられ、この現実を私たちはどのように判断しているのだろうか? 白井里美は、日本で生まれニューヨーク在住、来春ハンターカレッジ美術学修士号を取得予定のアーティスト。現在、Motus Fort、東京都写真美術館、ハンターカレッジ卒業展にて作品を展示中。彼女の作品はワシントンにあるスミソニアン・ナショナル・ポートレート・ギャラリーでも取り上げられた。 ※全文提供: Motus Fort 会期: 2011年1月14日(金)-2011年2月26日(土) |
最終更新 2011年 1月 14日 |