| EN |

中山玲佳:振り返る。とその向こうに
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2010年 3月 15日

画像提供:モリユウギャラリー copy right(c) Reika NAKAYAMA

中山玲佳の作品には、花や動物が登場します。それらは中山が夢の中で出会ったものたちです。メキシコ留学時代に体感した夢が中山の手によって現実世界に昇華され表現された作品群は一種独特の神話のようなものを想起させます。そこに描かれた物語は、パッショナブルな彩りの地に埋め込まれていきます。中山独特の色彩感覚から生み出された地は、メキシコ留学時にインスパイアされ、近年どんどん洗練されていく様子が見て取れます。

ヴィヴィッドな背景美に浮かぶ黒い動物、鳥が羽ばたく瞬間、白熊が泳いでいる瞬間、シマウマが背を向けた瞬間が、アクリルの上に鉛筆の繊細な線で描かれ、まるで動物たちの息づかいが聞こえるかの如き印象は、背景の強さに負けない生き生きとしたものとなっています。

夢と現実という相反する状況を圧倒的な立体感で中山は見事に描き上げ、美しくもはかない一瞬が鮮やかに一枚のキャンバスに込められています。背景と動物のつなぎ目に、我々鑑賞者をぽーんっと誘い込み、様々な時間軸を体験させる中山の世界観は圧倒的なダイナミズムを孕みます。振り返る。とその向こうに何が見えるのでしょう。

大阪・国立国際美術館で開催中の「絵画の庭」での展示も好評の中山玲佳。また、関連企画の「街へ出た『絵画の庭』」もgraf大阪、カッシーナ・イクスシー大阪におきまして開催中です。現実と夢想が交錯する中山玲佳ワールドをご体感下さい。

中山玲佳
2000年 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了
2007年 メキシコ国立自治大学大学院美術学部版画専攻課程修了
2010年 「絵画の庭 - ゼロ年代日本の地平から」国立国際美術館、大阪、2010年4月4日(日)まで

※全文提供: モリユウギャラリー

最終更新 2010年 3月 20日
 

編集部ノート    執筆:平田剛志


振り返る。とその向こうに待っているのは恐るべき不吉な事態が起こるホラー映画やスリラー映画のお決まりのパターンである。だから、後ろは振り返らない方がいいのにと何度スクリーンに向けて思ったことか知れない。
だが、安心してほしい。中山玲佳展では、ホラー映画のような不吉でスリラーな出来事は起こらない。むしろ、画面内を断絶するように異なる空間が現れたり、目の覚めるような絵画層の奥行きやペインティングの豊かさが味わえるという点で、事態は予想外な驚きを与えるだろう。そう、新しいものを見るとは、そこに恐怖や緊張があるということだとすれば、中山玲佳の絵画が提示する事態を私たちは驚きとともに受けとめるしかない。
振り返る。とその向こうには・・・


関連情報


| EN |