大竹司:ビニル |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 15日 |
三年半ぶりとなります今回の個展では、新作ペインティングと切り絵をご紹介いたします。 大竹は日常に紛れた奇妙なもの、「知らない間に生活に入り込んでいるというか、なんとなく受け入れてきた奇妙な関係や、微妙なものに興味がある」といいます。 たとえば「Medusa」(2009)では、あたかも自然の風景の断面のように地上/地中世界が描かれています。擬人化された極彩色の虫たちは明らかに過剰ですが、「あるのかもしれない」風景とも言えます。大竹は、日常から少しずれた風景、もしくは日常の中に紛れ込んでいる奇妙なオブジェクトを拾集し、まるで「ビニル」の中に詰めたように配置することでひとつに統一していきます。それは本来ならば隣り合わせにならないようなものの集合体、もしくは日常見過ごしてきた風景であり、不穏さを強調することで独特の世界観を形成しています。 また新作の切り絵「CAROL」(2009)では、デフォルメされた動物たちの中心に三つ編みの骸骨の少女が仁王立ちしているという大竹独自の、不思議な設定による世界が広がっています。作品の一部にマットなアクリルを被せることでクリアに見える部分とぼやけて見える部分を作り出しており、2Dの切り絵に「ぼかし」を発生させることでさらに奥行きのある歪んだ、曖昧な世界へと変化させています。 この機会に、是非大竹司の作品及び世界観をご高覧いただければ幸いです。 全文提供: 山本現代 |
最終更新 2010年 1月 09日 |