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大林芳紀 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 5月 20日

"unknown" year : unknown material : ink on paper size: 26 x 17.5 cm copy right(c) Yoshiki OBAYASHI / Courtesy of AOYAMA | MEGURO

"unknown" year : unknown material : ink on paper size: 49 x 77 cm copy right(c) Yoshiki OBAYASHI / Courtesy of AOYAMA | MEGURO

≪ROCK HATE vs HATE ROCK≫ プリントバージョン2000年 material : etching on paper, size : 150 × 98 cm copy right(c) Yoshiki OBAYASHI / Courtesy of AOYAMA | MEGURO

大林は1968年生まれ。2000年多摩美術大学絵画科版画専攻卒業。

美大入学以前より、独自にデトロイトなどのハードコアパンクバンドと交流し、彼らのジャケットデザインやミニコミの装丁を手掛けておりました。在学中もゴシップ雑誌などに挿画を提供したりしながら、石膏デッサンの時間にはすることがなく、ブルータスを輪切りにしてインスタレーションしたり、女子大でのグループ展では全てのトイレの便器に「ミソを付けて」出品してしまったり、一方平面作品では、肉眼では確認出来ない位の密度と、どこまでも自身の身体の限界を突破するスピード感と正確さをもって混沌とノイズを描き、凄まじく暴力的な中にも美しい画面で、当時より一部では危険視されていた存在でした。

病に苦悩し嘔吐、絶叫する者。阿修羅の如く憤怒する者。得体の知れぬ何かに驚愕する者。ロックを毛嫌いするヤンキー達と激しい憎悪を謳うハードコアパンクス達との無益で壮絶な闘争を古典の群像画を彷彿とさせる躍動的な構成で描いた作品「ROCK HATE vs HATE ROCK」。それぞれが過剰に表情豊かで、眼を背けたくなる程の生々しさが漲っています。そして轟音とカオスの渦中は、一転して涅槃の様に静謐な時空にも見え映ります。

高度に訓練された的確な描写力と、液晶画面のドットにさえ神を見出すアドレナリンジャンキーの視点。本展では約20点の平面を展示致します。新人大林芳紀の妖しくも神々しいオルタナティブな世界をこの機会に是非ご高覧下さい。

※全文提供: 青山|目黒

最終更新 2009年 7月 04日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


ヤンキーとパンクスの闘争を描いたという≪ROCK HATE vs HATE ROCK≫(2000年)。近年細密描写の作家に対する注目が著しく、大林芳紀の作品も一見それらに近しいものがあるように見えるが一線を画すのは、作品から溢れ出んばかりのスピード感と暴力性によってである。密度の濃い、時に目を背けたくなるほどの描写は昨今の平面作品からはほとんど見出せない熱がある。なお、プレスリリースではなく会場に貼られているディレクター・青山秀樹氏による文章に衝撃的な一文があるが、リリースで明らかにされていない以上ここで紹介することもしない。


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