この度アートコートギャラリーでは、平成25年度・第31回「咲くやこの花賞」受賞記念展として『咲くやこの花コレクション 大西康明展 空洞の彫刻』 を開催いたします。
空洞を彫刻するーーー大西康明は、内側のない空洞や余白と呼ばれる「ネガ」の空間を、体積・垂直・距離といったシンプルなテーマで視覚化させる彫刻作品を制作。接着剤やポリシートなどの形態を定めにくい素材を用いて、人為と自然との境界にある形を繊細な感覚でトレースする注目のアーティストです。 巨大な山陵や氷河洞、風に波立つ大海原、星雲のシルエットなど、人知を超えた領界を暗示させるインスタレーションでも高く評価され、国内外での展覧会やアーティスト・イン・レジデンスを重ねて幅広く活躍しています。
ーーーかつて何かが存在していたことや、これから何かが入り込むことが想像できる“不在の空間”を作り出すこと。 鑑賞者はその空間を意識して、内と外、表と裏、ネガとポジのような、相反しながらも見方によっては どちらにも解釈できる事象を身体的に体験し、それぞれの想像力を膨らませ、思考を働かせられる場を 作品として提示する。(大西康明)
タイマーで制御した小型ファンの気流で円筒形の袋が垂直方向に膨らんだり萎んだり...。ポリシートが見せる有機的な動きで「虚を見て虚を得る」感覚を観る者に与える《Untitled》(2009、右下写真参照)は、大西自身が空気や空洞に対して「体積」を見出し、後の代表作《体積の裏側》につながった重要なキーとなる作品です。 また、グルーガンを絵筆のように使い接着剤を塗り込めた表面を熱で溶かし、金属粉を擦り混ぜた板状の作品《exchange of surface》について、大西は「行為と現象を重ねて堆積させた痕跡」と語ります。
目に見えないものを明らかにする素材を選び取り、行為・現象・時間を構成要素に空間へアプローチしていく表現作法で、大西は空間に曖昧な輪郭を与えていきます。浮遊するやわらかな光の階調と陰影に満たされながら、空間を占有していくその造形は、観る者の無量無辺の想像力や思考をため込む美の器とも言えるでしょう。
本展では、光と重力を使って、内側をつくることから実体のない外側の創出を試みる新作を発表する他、初期作品である《ガワ(環)》、《Untitled》、《exchange of surface》など、「空洞を彫刻する」大西の造形表現の数々をご紹介します。
[作家プロフィール] 大西 康明 Yasuaki Onishi 1979 大阪市出身 2001 筑波大学芸術専門学群美術専攻卒業 2004 京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
|主な受賞| 2014 平成25年度 第31回咲くやこの花賞 2012 メディア芸術クリエイター育成支援事業 2011 ポーラ美術振興財団在外研修員としてイギリスにて研修 2010 Vermont Studio Center U.S. Japan Foundation Fellowship The Pollock-Krasner Foundation 2007 第1回秀桜基金留学賞 第10回岡本太郎現代芸術賞展/太郎賞 2006 文化庁メディア芸術祭 アート部門 審査委員会推薦作品
|主な個展| 2014 vertical emptiness (GALLERY OUT of PLACE TOKIO, 東京) 2013 reverse of volume (JOICE GALLERY, 北京, 中国) 2012 inner space (Wilfrid Israel Museum, Hazorea, イスラエル) reverse of volume(Rice Gallery, Houston, USA) 2011 体積の裏側 (愛知県美術館, 名古屋) 2010 reverse of volume (Vermont Studio Center Red Mill Gallery, Johnson, USA) horizontal forest (Not Quite Gallery, Fengersfors, スウェーデン) ridge of boundary(para_SITE Gallery, Graz, オーストリア) reverse of volume (KINOKINO Centre for Art and Film/Sandnes, ノルウェー) 2008 mountair (KONGSI, Enschede, オランダ) dairy distance (Sølyst Artists in Residence Centre, Jyderup,デンマーク) 2007 表裏の隙間 (PANTALOON, 大阪) inner skin (neutron, 京都) 2005 呼吸星雲 (INAX GALLERY 2, 東京)
|主なグループ展| 2014 Maison & Objet Trend Exhibition -Landscape (Paris Nord VillepinteHALL 7, Paris, フランス) 想像しなおし (福岡市美術館,福岡) 2013 The Mine -Launch Event (The Mine, Dubai, アラブ首長国連邦) Mono No Aware. Japanese Contemporary Art (エルミタージュ美術館, St. Petersburg, ロシア) HANARART 2013 (郡山城下町エリア 堺町ゾーン, 大和郡山) 六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2013 (六甲オルゴールミュージアム他, 神戸) dreamscape -うたかたの扉(京都芸術センター, 京都) 2012 agorà -Miniartextil (Villa Olmo, Como, イタリア) 2011 世界制作の方法(国立国際美術館, 大阪) Japan Media Arts Festival (Hartware MedienKunst Verein Dortmunder U, Dordmund, ドイツ) 2010 The Transforming State (Religare Arts Initiative, Delhi , インド) Art Court Frontier #8(アートコートギャラリー, 大阪) 2009 Against The Sculptural(Seoul Museum of Art, ソウル, 韓国) HOME(国際芸術センター青森ACAC, 青森) Residency Project Part2 (Kala Gallery, Berkeley, USA) SU:MBISORI (Jeju Museum of Art, 済州, 韓国) 2008 point éphémère (Bunkamura Gallery, 東京) 大開眼界 Eyes Curiosity -Japanee Contemporary Art (Soka Contemporary Space, 台北, 台湾) 2007 新進アーティストの発見 in あいち(愛知芸術文化センター, 名古屋) 2006 気配をけして piano, piano(大阪築港赤レンガ倉庫, 大阪) 2005 京都府美術工芸新鋭選抜展(京都市美術館, 京都) 2004 とよた美術展 ʼ04 (豊田市美術館, 豊田) 他、 個展、グループ展、アーティスト・イン・レジデンス 多数
◆イベント: 11月8日[土] 14:30~17:00 14:30~16:00 対 談 [ 金井直(信州大学人文学部准教授)× 大西康明 ] 16:00~17:00 レセプションパーティ
全文提供:アートコートギャラリー
会期:2014年11月8日(土)~2014年11月29日(土) 時間:11:00 - 19:00 土曜日は、11:00~17:00 休日:日・月曜、祝日 会場:アートコートギャラリー
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