窪愛美:壁の鳥 群れる土 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 6月 11日 |
窪愛美の作品は、たくさんの鳥の半身が、壁から突き抜けてくるような情景のインスタレーションです。 カラスやアホウドリにも似た太い胴の鳥たちは、嘴を開けるもの、閉じるもの、身を捻っているもの、羽根を開くものと一羽一羽すべて表情が違い、愛らしくもありますが、それらが一群となって別次元から身体を食い込ませるようにして向かってくる様子は、気持ちの芯が揺れるリアリティがあり、思わず立ち止まってしまうほどの迫力に満ちています。 鳥の双眸は土にうがたれたままの穴で、ぽっかりと丸く暗く、中の空洞の底知れなさを感じさせます。全身をグレーの釉薬で統一された肌合いは、ざらりとしてところどころ土の質感を残しており、焼成の段階で羽根や嘴がわずかに動くことで、より動物的で自然なかたちへと変貌した姿です。制作は型成形で行い、部分的に切ったり付け足しながら一羽一羽に個性が与えられています。一羽ずつを愛でながら、群れになったときの迫力を表現しようとするのは、嫌悪感や恐怖心をモチーフにして、例えば動物の死に対して一瞬目を背けながらも、目を離してはいけないと考える何かが自分の中にあるからだといいます。 窪愛美は2010年に大阪芸術大学を卒業し、現在は同大学の助手を勤めながら制作をしています。学生時代の課題では食欲をテーマにゴキブリで覆われた器をつくり、群れに対して人が持つ畏怖を初めて意識しました。やきものを素材に、穏やかな日常空間に一種違和感を与えようとする試みは、鳥の群れを生み出し、今展では、会場全体を使い、百羽以上の迫りくる鳥たちで壁を埋め尽くします。 若さあふれる24歳の初個展を、ぜひ会場でご覧ください。 窪愛美(Kubo Manami) グループ展、他 全文提供: INAXガレリアセラミカ 会期: 2011年6月7日(火)-2011年7月2日(土) |
最終更新 2011年 6月 07日 |