大森健司:陶 白い稜線の軌跡 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 5月 13日 |
大森健司の作品は、ジャバラを開いたようなかたちが、空間に立ち上がる白い陶のオブジェです。底部が小さく上部が広がる漏斗のようなかたち、逆に上部が鶴首のように細く底部にゆくにつれ裳裾をひくように広がるかたちなど様々ですが、いずれも80cmの高さで構築物のような迫力があります。今にも倒れかかってきそうな不安定感と、踏みとどまり屹立している存在感は見る者の目を奪います。 乾いた白い肌は石膏の立体模型を連想させる端正さですが、2度の釉薬掛けと焼成を繰り返すことで、どこか土の匂いの漂う独特の雰囲気をまとい、タイトルの「白い影像」が示すように、凹凸による陰影が美しく映えています。 制作方法はすべて手びねりで、明確な稜線は下から土を積み上げながら、途中指で引っ張り出すことで、つくり上げています。弧を描きながら立ち上っていくかたちが躍動感にあふれた作品です。 大森健司は岐阜県多治見市で制作を続ける29才です。大学では環境計画を専攻し、将来は建築事務所に就職する予定でしたが、陶芸サークルでロクロに出会ったことにより、やきもので作品を制作する方向へ転じました。大学卒業後は岐阜県多治見市陶磁器意匠研究所に入所し、2007年より現在の作品を制作するようになりました。 回転するかたちの躍動感、構築物のような迫力ある存在感、何かを投影し、投影しない土の香りのする白い肌。今展では「白い影像」シリーズから新作含め5点が展示されます。東京での初個展開催です。 大森健司 公募展 グループ展 ※全文提供: INAXガレリアセラミカ 会期: 2011年5月10日(火)-2011年6月3日(金) |
最終更新 2011年 5月 10日 |