展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2010年 4月 06日 |
茫洋と霞む大海原に、何百という船の群れがふわりと浮かんでいます。風景に溶け込みそうな白い船は、透明感のある手びねりの白磁でつくられています。一隻の大きさはおよそ15cmから30cm。釉薬が、水面に降り注ぐ光のように柔らかく輝いています。かたちは、丸いタンクが並んでいるもの、たくさんの船室がある豪華客船、煙突が立っていたり、社や魚が乗っているもの、平たいもの細長いもの、ひとつひとつがディテールに富み、チャーミングな表情をたたえています。 森庄平は、生まれ育った瀬戸内海をテーマに絵画の制作を続けてきました。人の生活、歴史文化、自然風土との営みを踏まえた風景をつくりたいと写生を続けるうちに、海と船と人の関わりに惹かれるようになりました。海峡を行き来する数百の船が、まるで群集の行き交う姿に見えてきたのです。絵では動きが出てこない。そんなとき、砥部焼に出会い、その温かい感触に魅せられました。違いがあって群像になるから意味がある。だから一つ一つを個性的に、人間をつくるように船をつくっていると話します。いろんな感覚でいろんな思いを投影して見てほしい、白はそのための色です。 会場全体を時空を超えた空間に見立て、約500 隻の船がいっぱいに埋め尽くします。自分自身に似たひとつの船を、探してみてはいかがでしょうか。ぜひ会場でご覧ください。 森庄平 経歴 画家(日本画・洋画)、陶芸家、日本民具学会会員(大漁旗研究)。瀬戸内海を起点として「海」をライフワークのテーマに多方面で創作活動を進める。 1. 絵画 1960~1962 年洋画創元会入賞3 回 1964~1974 年洋画個展3 回 1983~2009 年日本画個展17 回(ギャラリー・リブアート/松山、ギャラリー・ボヤージュ/銀座、新井画廊/銀座ほか) 2. 陶芸 1979~1993 年富士五湖窯陶器手捻り額縁制作 1997~2010 年砥部焼白磁手捻り額装・船型造形個展6 回 3. 大漁旗研究 2002~2010 年日本民具会「民具研究」誌に論文掲載 「感動・大漁旗展」開催をはじめ、日本経済新聞・文芸春秋・Casa BURUTUS など掲載 NHKTV・BS-1 TV 出演、武蔵野美術大学資料展等に大漁旗資料出展等 ※全文提供: INAXガレリアセラミカ
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最終更新 2010年 5月 07日 |