山根英房:flowing time in our backs |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 11月 11日 |
今回私は、古書店とはどのような場所なのかということをまず最初に考えました。 ここには、沢山の人々の手に渡ってきたであろう無数の本と、それらの本に関わった人々(書き手・読み手)が体験した時間が、ともに集積している場所であることに気が付きました。 この場所には確かに生きた人間の時間が存在していて、それらの個々人の時間が私達の社会の時間そのものを形作っているということに思いを巡らせました。 そのことと同時に、「本」という物質が流通するシステムが私達の社会にあること、そしてこれらの物質が長い時間を経た後にどうなっていくのかを考えました。 結局のところ私は、過去・現在・未来を一本の線に繋いで、長い時の流れを想像したかったのかもしれません。そしてそうすることが、私にとって、とても正しい生の有り様のような気がしてなりません。 ※全文提供: 山根英房 |
最終更新 2009年 10月 24日 |
本と美術は相性がいい。だが、実際の古書店でこれほど密な展示が行われた例はないのではないか。なぜなら本展で展開される本と植物によるインスタレーション、本のしおりを用いたプロジェクトはすべて古書店で実際に販売されている本を用いているからである。特に、古書店の棚に並べられた本からしおりが床へと延ばされ、1点へと束ねられるインスタレーションはカラフルなしおりの庭である。これまで本の内部に身を潜めていた鮮やかな色彩のしおりを目にすると、その1つ1つのしおりを辿って、本を吟味したくなる誘惑へと駆られることだろう。そう、私たちは本棚を探り、キノコ狩りならぬ本探しをする。本展における古書店と現代美術の組み合わせは、本としおりのように密接な関係なのである。 ちなみに、会期は土日のみ。場所は住宅街の隠れ家的な場所のため、地図をよく確認してから出かけることをおすすめする。もし道に迷いそうになったら、道に「しおり」をつけておくとよい。