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Timeless 感覚は時を越えて
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2014年 5月 26日

 

本展は、創造的な営みから「時間」を捉え、イマジネーションの扉を開いていこうという試みです。
私たちは、過ぎ去った日・今この瞬間・これから訪れる出来事を、過去・現在・未来と呼んでいます。また、「時が過ぎる」「時間が流れる」と表現するように、時間が一方向に進んでいるという認識を持っているのかもしれません。そして、コントロールのむずかしい時間に対して恐れを抱いたり、一方ではともに生きているという感覚を抱いたりするのではないでしょうか。
本展で紹介する6人のアーティストは、そんな私たちの中にある時間感覚をさまざまな方法や見方で刺激してくれます。
築80年を越えるNO-MAの古い町屋空間で、時間を越えたイマジネーションの旅に出かけましょう。

[作家コメント]
遠藤一郎 Endo Ichiro
未来へ号は、遠藤一郎の愛車であり住居。未来美術家を名乗る遠藤は、車体に大きく「未来へ」と描かれた車に乗り全国各地を走る。車体には、行く先々で出会った人々の夢が書かれており、車上生活をしながら、「GO FOR FUTURE」のメッセージを発信し続ける。
アートイベントで展示やパフォーマンスを行うほか、現在、凧あげプロジェクト「未来龍大空凧」を各地で開催。2012 年から、日本列島にメッセージを描くプロジェクト「RAINBOW JAPAN」を立ち上げ、日本列島を縦断、日本全体を勇気づけるメッセージを描く。


椎原 保 Shiihara Tamotsu
椎原は、彫刻ではない立体作品を空間に展開する。インスタレーションという言葉は用いず、「日常感覚で感じられることを編集する作業」としている。編集される様々なモノやコトが、空間に配置される。また、ここでの作品は、個人的なイメージ表現ではないという意味からも、井上明彦(美術家)、樋口裕昭(写真家)、藤枝守(作曲家)らとの感覚領域の層を重ね合わせた制作もしている。
こうした空間を歩き回るだけで、感覚がセンシティブになり、感じられることが豊富になって鑑賞者の頭の中で作品が生成されることとなる。


武友義樹 Taketomo Yoshiki
彼は、5m 以上の紐が付いた棒を激しく振り、紐の動きで波のようなものをつくる。この行為は、彼の余暇になっており、朝起きてから夜眠るまで飽きることなく紐を振り続けて過ごしている。この紐付きの棒の寿命は短く、すぐに折れたり削れてしまう。そうなると、自ら材料を探しに行き新しいものをつくる。
紐を振る活動に熱中するあまり、寝不足になることもある。
また、武友は 2008 年頃まで重量感のある壺も制作していた。壺のサイズは、主には気候の変化に準じて変化する。粘土が乾き固くなるのが好まないのか、夏場の作品は丈が低く、冬場の作品は高くなるという。


西澤 彰 Nishizawa Akira
彼は飛行機への限りない愛情に満ちた絵画を制作する。幼い頃に通っていた施設近くの民間飛行場から離着陸する姿をつぶさに見ていた彼が描く軽飛行機の独自性は、図版や写真ではなく、轟音を伴って飛ぶ実物の観察に基づくものであることが、その絶妙な角度で捉えた機影から読みとれる。駐機場に停止した飛行機はほとんどなく、ほぼすべてが大空を飛んでいる。彼の絵画が私達を強く惹きつけるのは、彼の飛行機という機械や物体への偏愛ではなく、大空への飛翔という観念そのものを描き出しているからである。


三橋精樹 Mitsuhashi Seiki
絵は、鉛筆で描かれている。はじめに鉛筆で細密な線画を描き、その後なぜか全面を黒々と塗り込む。一見漆喰の表面のようにも見えるが、角度を変えてみるとはじめの線画が強い筆圧によって浮き出て見える。
古くは、5 歳の頃の記憶から、中学卒業後 30 数年間、仕事のために自転車で通った様々場所の風景、テレビ番組など。また絵の裏には、文章が書かれている。カタカナ表記の文章には、画面の先の延長場面が詳しく綴られている。まさに、時空を超えて、彼自身がそこに立っているかのようである。


筒井貴希 Tsutsui Takaki
絵は、自宅と、仕事場で昼食後の休憩時間に描く。手に取ってよく見ると看板の一部が切り抜かれて、何回も別の看板と差し替えられている。スタッフに伺うと、彼は町の看板が別のものに掛け替えられたことに気付くやいなや、すぐに自分の描いた過去の看板を取り除き、新しい看板に取り替えるのだという。つまり、彼の絵は常に現実の時間軸と繋がっているのだ。彼が確信を持って認識し記録した風景の一部が「変化してしまった」ことは、彼にとって、自分が自分であることの柱を見失ってしまったような不安にかられているのだろう。彼の生活そのものと一体化した表現としての、臨場感が立ちのぼっている。


全文提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
会期:2014年5月2日(金)~2014年7月27日(日)
時間:11:00 - 17:00
休日:月
会場:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA
最終更新 2014年 5月 02日
 

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