篠原愛:ゆりかごから墓場まで |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2011年 3月 25日 |
篠原愛は1984 年鹿児島県生まれ、2007 年多摩美術大学卒業、GEISAI 出品後の最初の個展で注目を浴び一躍知られるところとなり、卒業以来毎年個展を開催し、多くの方々の期待を背に走り続けてきました。私たちのギャラリーでの個展は2009 年以来2 度目の個展になりますが、この間制作を大作中心に描き進め、そのうちの一点は昨年開催されたアートフェア「+PLUS」では好評を博しました。 今展のタイトル「ゆりかごから墓場まで」という言葉は、戦後イギリス労働党によって提唱された福祉政策と言われていますが、生まれてから死ぬまで安心して生きられる社会を目指したもの、結局は財政を圧迫させ、理想としながらも実現が難しい言葉として生き残っています。 しかし篠原がこの言葉から汲みとったものは生と死であり、その間に横たわる安寧の世界ではなく、むしろ内臓を切り裂くような苦悩の世界として、あるいは生命を育むかけがいのない世界として感受し、常にその先に死を見つめて生きる、自らの現実に他なりません。 1 年半の歳月を注いで完成された大作も、今に至るまで一貫して表現してきた「生と死」を内包するものであり、恐竜と少女を借りて表現された作品は、滅びゆく中での希望を見ることもできます。 篠原自身作品コンセプトを前提に描き始めるというより、自らの内奥に潜む「生と死」についての思いが、作品に表れると言います。初めて挑戦するサイズに四苦八苦しながらの制作でしたが、自らを追い詰め挑戦することで見えてきたこともあり、次へのステップへ得るものもあったと述べています。 今展では「ゆりかごから墓場まで」と題された大作を中心に、ドローイング数点をまじえた構成での発表を予定しています。篠原作品の緊 密で大胆な世界をご高覧いただければさいわいです。 篠原愛 個展 グループ展 ※全文提供: ギャラリーモモ 会期: 2011年5月14日(土)-2011年6月11日(土) |
最終更新 2011年 5月 14日 |