江川純太:正解の裏の裏の横 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2015年 9月 14日 |
eitoeikoでは2015年9月26日より10月24日まで、江川純太展「正解の裏の裏の横」を開催いたします。 瑞々しい色彩の油彩画による抽象表現を追求する江川純太(1978年神奈川県鎌倉市生まれ)。作家自身の記憶がどこまで正しいのか。そもそも間違っているのか。記憶の中の出来事が本当にあったことなのか。実際には存在しないことなのか。記憶という存在をあやふやなものと見なしている江川純太は、現在という瞬間における選択と、選択したことによって生じる結果にこだわります。 このたびの個展では製版されていないシルクスクリーンを用いた油彩画を発表いたします。本来シルクスクリーンはインクがメッシュを通過しない部分を製版してイメージを複製する技法です。製版せず、ただメッシュを使用するとインクが全てのメッシュの穴を通過できるため、シルクスクリーンとしては失敗とみなされます。 しかし版としての役割、複製という機能を奪うことで、逆にイメージは解放され、色、インクである油絵具の物質性、伸ばし方や押し付け方などの行為に作家は新しい価値を見出しました。完成した作品はイメージの崩壊と再生、曖昧な記憶と記録の繰り返しであると作家は考えます。無駄を繰り返すことで、違う価値が生まれる。そこで確かなものは、やはり絵を描く瞬間の選択なのだ、と江川は制作の原点に立ち戻るのです。 ジョージ・オーウェルの『1984』に描かれる二重思考のように、江川は記憶や記録を矛盾を孕んだ危ういものと捉え、選択と結果に事実の存在を感じているのです。 「我々はきっと、変わっていかなければならない。今までの常識ではなく、新しく考え、新しい価値、新しい人間のあり方、新しい世界を模索していくべきだ。」 江川純太はそのように考えます。新作ペインティングによる充実した個展をこの機会にぜひご高覧ください。また会期終了後の11月7日~12月6日には、藤沢市に新しく開館する藤沢市アートスペース「FAS」にて、オープニング展覧会「From now on!! 藤沢発、アートのこれから」の第2期展「Tri-Angle - 作品との対話」に参加いたします。 江川純太(えがわ・じゅんた) 全文提供:eitoeiko 会期:2015年9月26日(土) 〜 2015年10月24日(土) |
最終更新 2015年 9月 26日 |