作品が誰かにとって、社会にとって、どのような意味をもつのか。その可能性は作家にも想像しえないものです。たしかなことは、作品をめぐる言説=物語は、その作品を誰かに見せたときから始まるということだけかもしれません。作品発表の形態が多様化した現在でも、いまなお多くの場合、展覧会がその始まりとしての役割を果たしています。
「見たことがない、ふつうの展覧会」は”作品をつくり展示する”というあたりまえのように捉えている行為について再考し、自分たちの展示や制作方法を探ってきた「ギャラリーフロール × MUZZ」プロジェクトの参加学生による展覧会です。
いったい誰にとって「見たことがない」展覧会なのか。「ふつう」の基準とは何に拠るものなのか。参加学生にとどまらず、広く再考されるきっかけになることを期待します。
「ギャラリーフロール × MUZZ」プロジェクト 京都精華大学の学生が「つくる」ことと「みる」ことについてMUZZのメンバーやゲストとともに考えながら、「見たことがない、ふつうの展覧会」をつくりあげていく年間プロジェクト。
「MUZZ(マズ)」とは 芸術活動の可能性を探るため2002年より活動。その実践的な場として、オルタナティブ・スペース「MUZZ PROGRAM SPACE」を2003年より運営。作品制作の段階から展示まで、作家とともに話し合い展覧会をつくりあげる方法で企画活動をおこなう。
プロジェクト参加学生 石井 誠(芸術研究科 博士前期課程 版画領域1年生) 岸本 洋平(芸術学部 立体造形コース4年生) 髙橋 愛実(マンガ学部 カートゥーンコース4年生) 谷村 諒(芸術研究科 博士前期課程 テキスタイル領域1年生) 鳥彦(芸術研究科 博士前期課程 版画領域1年生) 森 綾花(芸術学部 版画コース3年生) 渡辺 望未(芸術学部 洋画コース3年生)
関連プログラム「be an artist」 プロジェクト参加学生たちがゲストアーティストとの対話を通して、作家として抱える問題意識や表現することについて理解を深めます。 ※公開形式でおこないます。 2月11日(土)14:00~16:00 ゲストアーティスト:三宅 砂織 コーディネーター:高橋 耕平
三宅 砂織(みやけ さおり) 1975年、岐阜県出身。高校時代から日本画を始め、京都市立芸術大学大学院で版画を専攻。リトグラフやシルクスクリーン、フォトグラムなどの技法と、線描を活かした細微な表現により幻想的な画面を生み出す。近年の主なグループ展に『LOCUS 五人の作家が紡ぎだす軌跡』(08年、神戸アートビレッジセンター)、個展に『CONSTELLATION2』(09年、ユカササハラギャラリー)、『realities or artifacts』(11年、Gallery Nomart)など。2010年、『VOCA展2010』に出品、VOCA賞を受賞。
高橋 耕平(たかはし こうへい) 1977年、京都府出身。京都精華大学大学院で版画を専攻。主に写真作品を制作し印画紙を加工する作品を発表。2005年よりビデオ作品を中心に発表している。近年の主なグループ展に『WORM HOLE episode5』(07年、magical artroom)『The same thing or similar things, and an action.』(10年、AD&A gallery)『加納俊輔・高橋耕平展「パズルと反芻」\"Puzzle & Rumination\"』(11年、Social Kitchen、LABORATORY、Division)など。2010年までMUZZのメンバーとして活動。
全文提供:京都精華大学 ギャラリーフロール
会期:2012年2月6日(月)~2012年2月18日(土) 時間:10:30~18:30 休日:日曜日 会場:京都精華大学 ギャラリーフロール
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