自由について2 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集3 |
公開日: 2012年 9月 24日 |
昨年に続き「自由について2」という、あえてナイーヴなタイトルを冠した展示を企画しました。この数年、また震災後1年半を経過した今も、個人的にとても関心があるテーマです。この国で、これほど「自由」を意識した時代は、戦後久しくなかったのではないでしょうか。その現代に生き、それぞれ特異な立脚点から、彼女たちにしか得られない「自由」を獲得しようとしている、2人のアーティストにフォーカスします。 ダンサーであり、衣装デザイナーでもあるメガネは、元来、性的な対象であるポールダンスの枠から大きくはみ出し、自作の覆面レスラー風コスチュームにメガネという姿で、アグレッシブかつセクシーなパフォーマンスを展開。2010 年からは、現代美術家・宇治野宗輝、人力発電のエキスパート・板野尚吾の技術協力により開発した、世界初の「発電するポールマシン」を駆使、すてきな自給自足ライフの実現をめざしています。 黒パイプ、ASA-CHANG&巡礼「アオイロ劇場」への出演、コンテンポラリーダンサー・鈴木美奈子とのユニット「アンコントロー・ラブ!」としての活動、さらに震災後、電力供給の不安が高まる 2011 年3月には、TRAUMARIS|SPACE にて「自家発電ナイト1」を企画。明和電機、珍しいキノコ舞踊団、山川冬樹など 10 組のアーティストたちのため、7時間断続的にポールを回し続け、電飾やラジカセをフル稼働する微弱電力を発電しました。身体1つで表現できるダンサーやパフォーマンスアーティスト、音楽家たちに、飛び入り参加もふくめて出演を募り、「インフラなき社会では非力だが、決して無力ではない」(山川冬樹 MC より)、ライヴの底力を身体をはって伝えました。そうした活動から同年「岡本太郎現代芸術賞 特別賞」を受賞。本展の会期中には新たな出演者を迎えて「自家発電ナイト2」を開催いたします。 東京藝術大学大学院を修了したばかりの片山真理は、特別に生まれもった身体の特徴と、開かれたイマジネーションという個性を発揮し、自身を取り巻く世界とのかかわりを、デリケートで詩的な造形や写真に表現してきました。 愛する物たちにくるまれた居心地のいい個室で、少女の頃の義足や小さなハイヒールを身に着けた、親密さに満ちたセルフポートレート。両足の義足と、専用に特注したハイヒールを着けて 180cm という迫力のプロポーションを生かしたパフォーマンス。幼少の頃からの思い出の断片をオイル漬けにした、おびただしい数の瓶詰め。 本展では「アートアワードトーキョー丸の内 2012」でグランプリを受賞した作品を再構成し、まるで異国へ嫁ぐ王女が砂漠を旅するための豪奢な輿と野営の天蓋を思わせるような、ロマンティックな新作インスタレーションを展開します。 メガネと片山真理。奇しくも姉妹のようによく似た2人の、力強く、のびやかで、インディペンデントな表現にご注目ください。 生きているかぎり、自由に呼吸し、踊って、歌っていたい。野の鳥のようにシンプルでささやかな「自由意思」を持って生きるために、人は環境、態度、技術を磨き、整えています。私たちはときにそれを芸術家の所作に倣うこともあるはずです。 住吉智恵 TRAUMARIS アートプロデューサー・ライター [作家プロフィール] オープニング:10月4日(木)18:00-22:00 リニューアル2周年パーティ:10 月 6 日(土) 18:00-22:00 全文提供:TRAUMARIS|SPACE 会期:2012年10月4日(木)~2012年11月4日(日) 時間:15:00 - 24:00 (日曜 14:00-22:00) 休日:月・祝 会場:TRAUMARIS|SPACE |
最終更新 2012年 10月 04日 |