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Published: May 15 2012 |
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土門拳は(明治42~平成2年)山形県酒田市に生まれた世界的写真家で、リアリズム写真を確立し報道写真の鬼とも呼ばれ、仏像に力強く迫った『古寺巡礼』をはじめ、『ヒロシマ』『風貌』等、不朽の名作を数多くのこしました。本展は、土門がこどもたちの生き生きとした表情と昭和の懐かしい情景をとらえた『こどもたち』『筑豊のこどもたち』等から選りすぐりの作品で構成するものです。 昭和10年、土門拳は日本工房に入社し報道写真の基礎を学び、シャープで速写性に富んだいきいきとした写真を次々に発表します。昭和11年、伊豆半島の湯ヶ島や静浦を取材します。自由闊達に遊ぶこどもたちを撮った躍動感のあるスナップは土門の出世作となりました。《水浴び》《鮎突く子ら》 昭和14年、日本工房を辞め、国際文化振興会の嘱託となった土門は雑誌の仕事を通して日本各地を取材し、夫々の風土に育まれるこどもの姿を撮っています。《傘を回すこども》《農村 団らん》 昭和20年、敗戦後フリーカメラマンとなった土門は、必死で日常を取り戻そうとする東京の人々や街にカメラを向けます。殊に、「人間の心から出た動き、表情をつかみたい」と悲惨な状況にあっても本能的に生きるこどもたちの姿を追及し、昭和28年から3年間、土門は江東区白河に通いつめ、こどもの写真を撮影しました。沢山のこどもが、貧しさの中でも夢中になって体ごとぶつかり合って遊ぶ時間がとらえられています。《近藤勇と鞍馬天狗》《とかげ》 同じ頃、土門は自宅付近の築地明石町をはじめ、東京の下町の路地裏で遊ぶこどもを数多く撮影しました。地方に取材に出かけてもこどもの群れの中に入り、ありのままの姿を写しています。《しんこ細工》《神田っ子》『こどもたち』1976年(ニッコールクラブ刊) 昭和34年の暮れ、土門は閉山させられた筑豊の炭鉱地帯で失業者の苦しみを撮影するうちに「大人の失業者たちよりも、それによせる家族、とくに子供たちに父親の失業の苦しみが集約されている状態を撮って、社会に訴える手だてとしたい」と考え、こどもたちをモチーフにしたのが『筑豊のこどもたち』です。ザラ紙に印刷しわずか100円で売り出した写真集は、社会的に大きな反響をよび10万部以上が売れました。《ボタ拾い》《ハモノ》『筑豊のこどもたち』1960年(パトリア書店刊) 土門拳が膨大なこども写真を撮影したのは、こどもが好きでこどもにひかれていたからですが、土門がとらえたのは天真爛漫なこどもらしい写真ではなく、社会の歪みが押し寄せたこどもの世界をいわば大人社会の一部として写している点で、高度経済成長期に向けてまい進していた昭和のドキュメントといえます。本展は、土門拳が撮った、混沌とした時代を必死で生きたありのままの“こどもたち”の姿をとおして、激動の昭和を振り返るきっかけとなり、一つの岐路にたつ日本人にとって道標になりうるものと考えます。
[作家プロフィール] 土門 拳 略歴 1909年(明治42) 現山形県酒田市相生町に生まれる 1933年(昭和 8)東京・上野池之端の宮内幸太郎写真場の内弟子となる 1935年(昭和10)報道写真家を志し名取洋之助主宰の日本工房に入社する 1953年(昭和28)『世界』6月号に「江東のこどもたち」を発表 1958年(昭和33)写真集『ヒロシマ』を刊行 1960年(昭和35)写真集『筑豊のこどもたち』を刊行、10万部を売る。筑豊を再訪し、 『るみえちゃんはお父さんが死んだ』を刊行 1963年(昭和38)大型写真集『古寺巡礼』第1集を刊行(75年、5集で完結) 1976年(昭和51)写真集『こどもたち』刊行 1979年(昭和54)脳血栓で倒れ、意識不明となる 1983年(昭和58)酒田市に土門拳記念館開館 1990年(平成 2)9月15日死去(享年80)
◇主な出品作品 《水浴び》《鮎突く子ら》1936年、《神田っ子》1953年、《しんこ細工》1954年、《近藤勇と鞍馬天狗》《とかげ》1955年、《ボタ拾い》《ハモノ》1959年 合計 83点
◇関連事業 ①記念講演会『こども大好き。土門拳ってどんな人?!』講師:藤森武(写真家) 日時 :7月29日(日) 午後2時より 場所 :小山市立博物館(小山市乙女1-31-7) 定員 :80名(要申込) 参加無料 ②夏のうきうきワークショップ 『溶接で名前をつくろう』講師:星野智秀(建築家・デザイナー) タムラサトル(造形作家)協力:日本溶接協会 日時:7月22日(日) 午後2時より 場所:小山市立博物館(小山市乙女1-31-7) 定員:15名(要申込) 参加費 300円 『空き箱で不思議な生き物をつくろう』講師:当館スタッフ 日時:8月19日(日) 午後2時より 場所:地域安全活動センター(小山市乙女1-11-45) 定員:20名(要申込) 参加費 100円 『ミクロとマクロの世界を行き来しよう』講師:ジェレミー・バッカー(アーティスト) 日時:8月26日(日) 午後2時より 場所:小山市立博物館(小山市乙女1-31-7) 定員:15名(要申込) 参加費 100円 ③ギャラリートーク 日時 :8月11日(土)、25日(土)
小山市立車屋美術館 全文提供:小山市立車屋美術館
会期:2012年7月14日(土)~2012年9月2日(日) 時間:9:00 - 17:00(入館は閉館の30分前) 休日:月曜日、第4金曜日閉館 会場:小山市立車屋美術館
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Last Updated on July 14 2012 |