川北ゆう:ゆらぎのあと 景色をそそぐ |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 6月 10日 |
川北ゆうは、水、空気、植物の生命力、風の動き、その中にいる身体、すべてに共通して流れている自然そのものの感触を表現しようとしています。 白い画面の上にひといきに勢いよく流され、揺れて泳ぐ線の集合体。近づいてみると、一本一本が細かい振動でふるえる繊維や、藻のように微妙な表情を見せて錯綜し、不可思議な美しいフォルムをつくりだしています。色は川北に影響を与えた馴染み深い自然などから抽出された色、川の青や苔の緑などです。 暗い部屋にそこだけスポットをあてて浮かび上がる白い画面は、床に置かれ、作品の周囲を回りながら覗き込むように見ます。そこには、流れゆく川の水面のすがすがしさや、水底にそよぐ藻の深さまでもが感じられるようです。空気がひとすじの煙によってその複雑な気流を明らかにするように、川北の作品は、見えないものの存在感を画面に定着させているようです。 作家の川北ゆうは京都出身・在住の26 歳。京都精華大学では洋画を専攻し、現在のような作品に至るまで、自然という存在の力を画面へ置きかえる作業を模索してきました。人工的にシミをつくったり、毛細管現象を利用した作品の後、水を大量に使う手法に行き着きます。床に支持体を置いて、上から水を流すようにして制作される作品は、そのまま展示のかたちになります。あふれるほどの水を用いて生み出される流線は、画面上に痕跡となり、捉えきれない自然のエネルギー、美しいかたちをつくりだします。 今展では4m大の新作2 点をごらん頂く予定です。都会の夏に涼を感じさせる、みずみずしい作品をぜひ会場でご覧ください。 川北ゆう 個展 グループ展 2009 FLOATING STROKES GARELIE KASHYA HILDEBRAND / チューリッヒ 2008 SENJIRU - INFUSION GARELIE KASHYA HILDEBRAND / チューリッヒ 2006 STAIRS 海岸通ギャラリーCASO/ 大阪 2005 目の前を、聞く。ギャラリーフロール/ 京都精華大学内ギャラリー ワークショップ ※全文提供: INAXギャラリー 会期: 2010年7月2日-2010年7月28日 |
最終更新 2010年 7月 02日 |