隠崎麗奈:foggy |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 9月 26日 |
隠崎麗奈の立体作品は空想的な形態とやわらかな配色が特徴的である。それは一見、見覚えがある様でその実、一体なんの形を表しているのだか見当もつかない。タイトルを見て納得できる気もするのだが、そのタイトルが正解なのかすらどこにも確証はない。彼女の作品に近づこうとすればするほど、目の前は深い霧に包まれていくようだ。 ここ数年、彼女のその造形力と洗練度は展覧会を経るごとに増し、FRPを中心に様々な素材を扱い完成度の高い作品を次々と産み出している。その高い技術に支えられながら、彼女の自由奔放な想像力は、私達の視覚や触覚といった感覚の既成概念を裏切り、惑わせ、刺激し続けるのです。 彼女が創り出すFantasyを是非この機会にご体験ください ※全文提供: TOKIO OUT of PLACE 会期: 2011年9月23日(金)〜2011年10月23日(水) |
最終更新 2011年 9月 23日 |
昔使っていたテーブルクロスのストライプ模様や、ハンカチの柄のことを、ふと思いだすことはないだろうか。生活の中で観ていた小物たちの面影である。今回の展示では、そのような小物たちのぼやけた面影が、ぼやけた印象のまま、しかし非常に明確な物体として提示される。
FRPで作られた腰までの高さの台のような立体には、表面にストライプと白い雲形のシルエット。「食卓」というタイトルを観て、昔観たテーブルクロスの柄や、お皿の縁、あるいは湯気などを思い出す。なるほど、脳内の曖昧な小物たちの印象がそのまま形を持ったら、このようなものになるのかも知れないと唸らされる。
そのほか、「ハンカチーフ」や「Flowers」など、どの作品も洗練された幾何学的形態とマットな色彩で作品が展開されていく。マニッシュな印象なのに、モチーフから懐かしさが感じられるのが面白い。今回の展示では、透明のシリコンの中に糸が組み込まれ、層を感じさせながらも薄く仕上げた作品も登場。生活の中で出会う小物の印象が深化していく様が目の前で立体になって登場する面白さを是非味わっていただきたい。