月末よしみん:flower shop |
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Published: February 14 2014 |
There are no translations available. 明治以前、西洋美術の様式が流入する以前の日本美術に代表されるのが浮世絵だ。 当時、高品質の芸術品がこれほど庶民の間で広まっていたのも世界に例がなく、 大衆のための美術としては世界で初めてのものといわれている。 様々な流派の画風の総合とし、公家・武家・町人たちの交流の中で生まれ それを享受したのも町人、武家や公家そして村に住む百姓でもあったため 階層を超えた国民文化として発展していった。 浮世絵を国民的美術に押し上げた要因は、なんだったのだろう。 それは日本の伝統的な美術のあり方、商業デザインとしての美術のあり方があったからではないか 当時流行した浮世絵の価格は蕎麦1杯分、誰もが気軽に購入できるものだった。 流行の着物を着た美人画や歌舞伎俳優を描いた役者絵は、まさに現在のファッション誌やブロマイド。 元来、日本の美の伝統は用途のあるもの、襖絵や屏風、衣服や焼物の絵付け、 そして団扇や香包など日常を飾る品々に優れた芸術性を持ったデザインが多用され、 「美術作品」と「工芸作品」との垣根が極めて低いことが示されている。 そう、当時の日本の美術を沢山の人が楽しむ事ができたのは、商業と美術が一体化していたからなのだ。 日本の美術は身近な物に神を、美を見いだす日本人の感性から成っており、 それこそが日本の美術のあり方であり、階層を超えて大衆にも愛された所以であるといえる。 その系譜を踏まえた月末氏の作品は、日常生活そのものに洗練された美意識を持ち込む伝統が顕著に現れている。 どこにでも誰の身の回りにでもあるような身近な物を描いており、 どんな物にでも宿る神を信じる日本人の心のごとく、命をふきこむように描かれた物たちは、 彼の描く有機的な線により躍動感をあたえられ魅力的に画面に収まっている。 カシュー漆という、より現代的な表現と、デザインとしての日本の伝統的な技法を織り交ぜた 日本美術の文脈に乗っ取った新しいアプローチにより、日本の現代美術を再び大衆化し 誰にでも楽しめる美術を再構築する試みといえる。身近な物に絵を施し慈しんできた日本人の心に 敬意を込めて描いている、月末氏の作品ほどわれわれの身近に感ずるものはないだろう。 (Gallery Introart 橋本知紗子) [作家コメント] [作家プロフィール] 作家在廊予定日 2/19(水)、21日(金)、22日(土)、23日(日)、28日(金)、3/1日(土)、2日(日) 全文提供:Gallery Introart 会期:2014年2月19日(水)~2014年3月2日(日) 時間:13:00 - 20:00 休日:日・月曜、祝日 会場:Gallery Introart |
Last Updated on February 19 2014 |