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Published: June 19 2013 |
このたび、キドプレスでは2009年に引き続き、二回目となる阪本トクロウの個展を開催いたします。 新作のペインティングに加え、今回新たに制作されたメゾチントによる銅版画を展示いたします。 阪本トクロウは1975年に山梨県塩山市(現・甲府市)に生まれ、同地にて制作を続ける作家です。 描くモチーフに「どこにでもあるもの」というルール決めて描くようにしている、という作品からはその場所の空気、におい、音までもが想像され、鑑賞者の誰もが一種の既視感を覚えるのではないでしょうか。 さらに阪本の魅力は、見慣れたはずの風景の向こうに待つ非日常に触れるところにあります。洗練された構図、空への視線誘導、柔らかな色調や、明快に取り出された形、それらいくつもの要素が、時が停まっているような静寂と現実世界から切り離されるような心地よい距離感を生んでいます。 福田平八郎の「漣」を思い浮かべて描かれた「水面」、東京の常宿の窓から眺めた町の灯りが幾何学的に美しく煌めく「夜景」のシリーズなどは、今回、初めてメゾチントでの制作を試みています。 (mezzotint: 銅版画の技法の一種で、あらかじめ版面に専用の道具で、黒い版を作り、それを削ることで描画する技法のひとつ。フランス語ではマニエール・ノワール(黒の技法)とも呼ばれ、黒い背景に浮かび上がる豊かな明暗濃淡が柔らかい階調を生み出すのが特徴です。)
[作家コメント] 作品の制作では風景を写真に撮り、そこからシルエットの形を抜き取って画面にトレースする方法を多用します。その抜き取ったシルエットをコラージュのように貼り付けて構図を作ったり、レイヤーを重ねて奥行きを出すような作品も作ります。 今回のメゾチントでの版画制作は特にこのトレースの部分だけで作った作品といえます。 形を丁寧に追って転写するだけです。 何かを伝える為のものではなく、世界を見て、それをなぞった跡がただ現れれば良いと思っています。 また今回の技法メゾチントではインクを乗せたくないところを平らに削ったり、擦ったりしたのですが、銅版なのでエッジの効いた鋭利な印象を持つ版が出来上がりました。それが刷ってみると地と図の境界が思いのほか柔らかく、さらに深さも出してくれることも驚きで、面白く制作出来ています。 初めての技法とその制約が良い形で作用し、自分と作品との距離感が上手くとれたものが出来つつあります。
[作家プロフィール] 阪本 トクロウ / Tokuro Sakamoto 1975年 山梨県塩山市(現・甲府市)生まれ 1999年 東京芸術大学 美術学部絵画科日本画専攻卒業 2000年 早見芸術学園 日本画塾卒業
<主な展覧会> 2012年 「遠景」(アートフロントギャラリー/代官山) 「パララックス」(三越/銀座) 2011年 「交差点」(Gallery MoMo/両国) 2010年 「けだるき一日生きるだけ」(アートフロントギャラリー/代官山) 「眼差し」(ギャラリー桜の木/銀座) 2009年 新作版画展 個展(キドプレス/清澄) 「共鳴」(Gallery MoMo/両国) 2008年 「ビューティフルドリフター」(アートフロントギャラリー/代官山) 「エンドレスホリデイ」(新生堂/青山) VOCA 2008(上野の森美術館/上野) 新収蔵品展(山梨県立美術館/甲府) 2007年 「呼吸」(Gallery MoMo/六本木) 2006年 新収蔵品展(山梨県立美術館/甲府) 第3回東山魁夷記念日経日本画大賞展 (ニューオータニ美術館/赤坂) 2005年 トーキョーワンダーウォール2005出展(東京都現代美術館) 2004年 大木記念美術家助成基金 成果発表展(山梨県立美術館ギャラリーエコー/山梨) シェル美術賞展(ヒルサイドテラス/代官山) 2003年 群馬青年ビエンナーレ’03(群馬県立近代美術館/群馬) 第9回リキテックスビエンナーレ(スパイラルガーデン/青山) 2002年 第21回安田火災美術財団選抜奨励展(安田火災東郷青児美術館/新宿) 2001年 昭和シェル石油現代美術賞展(目黒区美術館) その他、国内外でのアートフェア、グループ展など多数出展 <<パブリックコレクション>> 山梨県立美術館 山梨県立文学館
オープニングレセプション 7月13日(土)18:00〜20:00
全文提供:KIDO Press,Inc.
会期:2013.7.13~2013.9.7 時間:12:00~19:00 closed on Sunday, Monday, and national holidays 会場:KIDO Press,Inc.
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Last Updated on July 13 2013 |