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赤川芳之:おとなの子
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2010年 5月 23日

《彼方に見えるもの》 2010年
116.7 x 91 cm|アクリル・金粉・銀粉・銅粉
画像提供:メグミオギタギャラリー|Copyright © Yoshiyuki AKAGAWA

赤川芳之(1971生まれ)は桑澤デザイン研究所を卒業後、デザインプロダクション勤務を経て2003年よりフリーのアートディレクターとして活動しながら、ペインティングによる表現により重点をおいて、作品制作を行っています。今回はShowcaseにおいて「おとなの子」展を開催いたします。

私達は日々、時を重ねながらふと過去の自分と現在の自分がべつのもののようだと感じる事があります。そんな2つの「自分」が唯一共有しているのは幼き日々の断片的で印象的な記憶達だと赤川は考えます。

『夏の暑い日差しのもと。小金井公園に向かう自転車の荷台には僕が座り、前には白いタオルを首から掛け、大粒の汗をふき出しながらペダルをこぐ、大きな体をしたおじいちゃんがいます。公園での植物の写生はゆっくりとした時間のまま、僕の脳裏の壁いっぱいにポラロイド写真がコラージュしているようです。少しピンボケですが色褪せる事のないその写真たちは、幼少期の「おもい」を記憶しているのだと言います。』

大人になった赤川は過去への憧憬とも捉えがたいその感覚を、絵画表現にする事によって理解しようと制作を本格的に開始しました。描かれるモチーフは植物的にデフォルメされた人間の頭部と首です。それは大人でも子供でもない、赤川が抱き続ける一瞬の思いが具現化した存在であり、時を経て喜びや悲しみを超越した表情で、記憶の中にある公園に横たわっています。一見イラスト風の作品は、アクリルに金粉、銀粉、銅粉を駆使した日本画のような表現と、細部までこだわりを持って描き込まれた、絵画としての力強さを持ち合わせています。

「自分」という捉えがたいその姿を、うつろう時間の断片から描き取る、赤川芳之の描く「おとなの子」をどうぞご期待下さい。

※全文提供: メグミオギタギャラリー


会期: 2010年7月22日-2010年8月7日

最終更新 2010年 7月 22日
 

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