池田真子:別人には為れない |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2011年 11月 09日 |
池田真子は、シルクスクリーンを用いて、白いインクの濃淡だけで人物の顔を描きだす。 闇から浮かび上がる人物の表情からは,強い意志や願望は感じられない。表情をよく見ようとすると,背景にある闇に吸い込まれそうになる。しかし池田は,そんな闇の中へ身を投じて、そこから現実世界をのぞき見たいと言う。彼女にとって「闇」は感覚を研ぎ澄ませて自己を見つめることのできる,安らぎの空間なのである。 理想や願望によって彩られる日常から脱却して,自分自身をみつめる-。そこで「別人には為れない」ということに気づくと同時に,「自分」というものが確固たる存在であると認識することができる。池田の描く人物像は,そのことを知ってか知らずか,あらゆる意志も願望ももたず,ただ闇の中に佇んでいる。 今回の個展では、壁面に作品を展示するだけでなく、空間全体をつかった表現にも挑戦する。これまでの平面作品の枠を超えた、新たな展開にも期待したい。 池田真子 ※全文提供: Gallery Ort Project 会期: 2011年12月7日(水)〜2011年12月12日(月) |
最終更新 2011年 12月 07日 |