展覧会
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執筆: 記事中参照
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公開日: 2011年 5月 28日 |
私の作品はドローイングと言う事もあって、紙やキャンバスなどいわゆる地の上に、筆あるいは鉛筆等で図を線描する事で成り立っています。しかしそこで私は、何かを描写するのではなく、地と図の素材同士の出会いを通してそれぞれの内的意志を呼び覚まし、結晶化してカタチにできないかと考えているのです。
例えば、「鉛筆削り、色鉛筆とキャンバスのためのドローイング」では、鉛筆削りで削って尖らせた色鉛筆の線は、描き始めが細く、徐々に太くなっていきます。一本、一本、引く前に削る事で生まれてくる鉛筆固有の徐々に太くなる線。これを一単位としてキャンバス上に反復して埋め尽くし、紡ぎ出された結晶体として、あるいは色鉛筆の内的必然性から生み出される意志のカタチとして表現しようとしているのです。
今回のテーマは、銀筆を使った「銀筆、カラージェッソとキャンバスのためのドローイング」と「銀筆と紙のためのドローイング」です。
銀筆とは、鉛筆の芯のグラファイトが銀に代わった素材です。
私と銀筆との出会いは、2008年にある画廊から直径2mm位の銀の芯棒とホルダーをプレゼントされた事によります。ヨーロッパでは羊皮紙に描いていたらしい事、紙によっては滑って描けない場合もある事、先を尖らせるには硬いので、サンドペーパーで研ぐ事などの説明をひととおり聞いて受け取りました。
銀筆の線も最初に削った時が細く、徐々に太くなるのですが、色鉛筆と違って芯が非常に硬くて磨耗しにくく、一度先を尖らせれば細い線を長く引き続ける事が出来ます。そこから銀筆作品は、始めに銀筆の先を尖らせて描き始め、そのまま一気に最後まで数時間描き続けて画面を埋め尽くす構造になっています。
作品の表情は、地の違いで変わってきます。
「銀筆、カラージェッソとキャンバスのためのドローイング」は、キャンバスにカラージェッソを施した地に銀筆で描いています。細く銀色に輝く強い線の作品になります。
「銀筆と紙のためのドローイング」は、銀筆の先の硬さを利用して、紙の表面を凹ませながら描いています。ここでは四種類の紙を試していますが、紙のそれぞれの性格が表現されます。ドローイングはその性質上、安定した地の上に図を描いて行く事が普通なのですが、地を凹ませ変形させながらの制作は新鮮でした。
最後に、銀は錆びるという特徴を持っています。カラージェッソの上に描かれた線は色が変わって表情が変わり、最後は見えにくくなってくるかもしれませんし、今は、凹凸しか見えないような紙の上に描かれた線は、はっきり見えるようになる可能性もあります。保存状態でも表情は変わってくるでしょうし、これだけは環境と時間に育ててもらうしかありません。
展覧会は、銀筆作品の他に色鉛筆作品も数点出して比較出来るようになっています。御高覧よろしくお願いします。
高島進 1959 兵庫県生まれ 1982 武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業 1984 武蔵野美術学園油絵科修了 1987 アジェンデ美術学校(メキシコ)に1年留学
《個展》 1999 青樺画廊(東京・銀座) 1999.01.03.06.10.ギャラリー舫(東京・銀座) 2000 モリスギャラリー(東京・銀座) 2000 空想・ガレリア(東京・銀座) 2001 なびす画廊(東京・銀座) 2004.07. ギャラリーゴトウ(東京・銀座) 2005.08. ギャラリーテムズ(東京・小金井) 2009.10.11. Shonandai MY Gallery(東京・六本木)
《グループ展》 1986.87. 第1回、2回デッサン大賞展(神戸・東京・名古屋・京都)(大阪府立現代美術センター・東京銀座川上画廊) 1990 第16回日仏現代美術展(パリ・東京・他)、第1回TAMON賞展(柏高島屋) 1991.96. 第20回、25回現代日本美術展(東京都美術館・京都市美術館) 1993.94. 第15回、第17回エンバ美術コンクール(エンバ中国近代美術館)(エンバ中国近代美術館・氷上町植野記念美術館) 1995 第1回西脇市サムホール大賞展(西脇市岡之山美術館) 1997 第2回昭和シェル石油現代美術賞展(東京国際フォーラム)、第37回パリ招待サロン「現代の巨匠と青年展」(パリ)、97ABC美術コンクール(大阪ABCギャラリー・福岡美術館・札幌市民ギャラリー・有楽町朝日ギャラリー) 1998 第1回川の絵画大賞展(加古川総合文化センター)、第3回アート公募99企画作家選出作品展(新木場SOKOギャラリー) 2000. 02. 第14回、16回多摩秀作美術展(青梅市立美術館) 2000. 木下晋・高島進・浜田賢治三人展(ギャラリー・しらみず美術/東京・銀座) 2002.03.05.08. 第11.12.14.17回青木繁記念大賞公募展(石橋美術館・アクシスギャラリー/東京・六本木・郡山市立美術館) 2002. 渡邉早苗・高島進展(ギャラリーゴトウ/東京・銀座)、ギャラリーテムズコレクション展Ⅱ(ギャラリーテムズ/東京・小金井) 2006 スコープ・ニューヨーク、アート上海2006、高島進・団野雅子・中込靖成-三人展-(ギャラリーゴトウ/東京・銀座) 2007 Last Scene(ギャラリーゴトウ/東京・銀座)、Hors Ligne(ギャラリー惺/東京・吉祥寺)、First Scene(ギャラリーゴトウ/東京・銀座) 2008 MINIMAL PAINTING 21(ギャラリー惺/東京・吉祥寺)、人間像展(白銅鞮画廊/東京・京橋) 2009.10. kunStart(イタリア・ボルザーノ)、顔顔顔展(Shonandai MY Gallery(東京・六本木) 2010.11. 新春小品展(ギャラリー由芽/東京・三鷹) 2010 日米アートカイト展(静岡文化芸術大学、CHANDLER FINE ART/サンフランシスコ)、六・面・展・(Gallery FACE to FACE/東京・吉祥寺)、FLOWERS(ギャラリー惺/東京・吉祥寺)、+PLUS Tokyo Contemporary Art Fair(東美アートフォーラム/東京・新橋) 2011 絵兎展(Gallery FACE to FACE/東京・吉祥寺)、第2回「ドローイングとは何か」展(ギャルリー志門/東京・銀座)、Selection5(Gallery FACE to FACE/東京・吉祥寺)
《受賞》 1990 第16回日仏現代美術展/日本テレビ奨励賞 1997 第2回昭和シェル石油現代美術賞展/奨励賞、’97ABC美術コンクール/優秀賞 1998 第3回アート公募99企画作家選出作品展/ギャラリー賞 2000 第14回多摩秀作美術展/大賞 2002 第11回青木繁記念大賞公募展/優秀賞 2007 第5回現代日本美術会賞審査員特別賞
《収蔵》 青梅市立美術館、羽田空港
全文提供: Shonandai MY Gallery
会期: 2011年6月1日(水)-2011年6月8日(水) 会場: Shonandai MY Gallery
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最終更新 2011年 6月 01日 |