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藤本由紀夫:n / t - phonography / photography -
展覧会
執筆: カロンズネット編集   
公開日: 2011年 3月 02日

左:PHONOGRAPH – P, 2011
右:PHOTOGRAPH – P, 2011
photo: 高嶋清俊
画像提供:シュウゴアーツ|Copyright© Yukio FUJIMOTO

私たちは今、目で音を聞き、耳で絵をみている。
-藤本由紀夫

トーマス・エジソンがphonograph(蓄音機)を発明する20年前、1857年に印刷技師のレオン・スコットにより世界最初の録音=音の記録がなされました。それは音の振動の軌跡を描いたのもの、つまり音を再生不可能な視覚情報として記録したものでした。これは聴覚情報が視覚情報へと変換された最初の事例だったのかもしれません。

「PHONOGRAPH-P」、「PHOTOGRAPH-P」という2つの作品は、phonograph、photographがnとtの、一文字違いであることから写真とは何かということを考え始めたと作家は言います。アルビューメンプリント(鶏卵紙)の印画紙を自ら制作し、phonograph/photographの文字の形を針で穴をあけたキャンバスを上にのせて、日光写真の方法で制作した作品です。その文字の穴の一つ一つがピンホールカメラとなり、印画紙の上に太陽の姿、運行を投影しています。それは私達が普段、写真と呼ぶものからは大きく隔たった、音と光の記録です。

21世紀の今、視覚と聴覚はテクノロジーの発展により新しい関係を生み出しています。視覚情報、聴覚情報の区別を越えて、この新しい世界の中でみずからの目と耳を柔軟に使いこなすことが重要になっているのです。

藤本由紀夫
1950年生まれ。2001年ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館代表としての参加に続き、2007年には国際部門にて出品。国内では1997年から一年に一日だけ開催する展覧会「美術館の遠足」を2006年までの10年間、企画・運営し、鑑賞者のみならず美術館運営側にも新しい表現活動のあり方を提案し話題になりました。2007年、広島市現代美術館での個展をはじめ、西宮市大谷記念美術館、国立国際美術館、和歌山県立近代美術館の3館で個展を同時開催。2008年、開館20周年記念コレクション+(プラス)ひびきあう音・色・形 (高松市美術館、高松)、小杉武久+藤本由紀夫展 「音楽」 (国際芸術センター青森、青森)、The Tower of Time(Ikon gallery、バーミンガム)など。

※全文提供: シュウゴアーツ


会期: 2011年4月9日(土)-2011年5月28日(土)
会場: シュウゴアーツ

最終更新 2011年 4月 09日
 

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