先頃テレビのバラエティー番組で、若手のマジシャンが登場し、金属性のスプーンとフォークの先を貫通させるというシンプルなパフォーマンスが紹介されました。どのような仕掛けで貫通させているのか?という驚きも然る事ながら、スプーンにフォークの先が突き刺さっているという状態が印象的で、この種のマジックは、仕掛けが見えないという奇計を超え、超常現象のパロディとして笑いを誘います。絵画や彫刻においても、その媒体が有する形式や枠組みを担いながら、作家の意図と受けての常識が思わぬ誤算を招き入れ、心地よい裏切りを与えてくれることがあります。本展は、様々な媒体を用いて制作している3人の作家に出品を依頼し、それぞれの作品の中に潜む修辞性とみる者の中で派生する感覚のズレについて考察します。
出品作家: 大崎信之(立体)・川上亜寿美(立体)・松本良太(絵画)
【大崎信之(Nobuyuki Osaki)】 1955年、京都府生まれ。1983年、京都市立芸術大学大学院彫刻修了。1982年、ギャラリー白(大阪)にて初個展を開催(以降、 2001年まで定期的に個展を開催)。その他、ギャラリーすずき(京都)、ギャラリーRⅡ(京都)、オン・ギャラリー(大阪)、ギャラリー16(京都)、 Oギャラリーeyes(大阪)等で個展を開催。主なグループ展に、1984年、今村源、大崎信之、奥田輝芳による 3人展(ギャラリー白・大阪)、第4回現代美術今立紙展(福井県今立町)。1985年、第10回京都美術展(京都府立文化芸術会館・京都)、第10回 Good Art展(京都市美術館・京都)、第5回現代美術今立紙展(福井県今立町)。1986年、ライト・オン‘86(オン・ギャラリー・大阪)。1987年、 LANDSCAPE(ギャラリー白・大阪)、台2回Good Art展(京都市美術館・京都)。1989年、YES ART 8(ギャラリー白・大阪)。1995年、小品展-彫刻-青木野枝、伊藤誠、大崎信之、祐成政徳(ギャラリー白・大阪)。2004年、Figure(ギャラリー白・大阪)等。本展では、1946年に米国記者との対談の中で毛沢東が「張子の虎」という言葉を用いたことをモティーフに、紙等で制作した“虎”の作品を発表する予定。
【川上亜寿美(Azumi Kawakami)】 1984年、大阪府生まれ。2008年、京都市立芸術大学美術学部美術科油画専攻卒業。2009年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催(以降、2010年に同ギャラリーにて個展を開催)。主なグループ展として、2007年、シェル美術賞2007(代官山ヒルサイドフォーラム・東京/京都市美術館別館・京都)、その時は呼んでよ(space alternative gallery・京都)、トゥールビヨンⅥ(Oギャラリーeyes・大阪)。2009年、s/s project.001(CPG/BAR超能力・京都)、スタンダードジャパン エディション(Oギャラリーeyes・大阪)に出品。本展では、手編みのニットセーターの中で“手編みをしている女の子”のイメージを編みこんだ作品を出品予定。
【松本良太(Ryota Matsumoto)】 1986年、奈良県生まれ。2007年、大阪芸術大学付属美術専門学校美術・工芸学科プリントメイキング専攻を卒業。2009年、京都精華大学芸術学部メディア造形学科版画専攻を卒業。2010年、Oギャラリーeyes(大阪)にて初個展を開催。主なグループ展として、2005年、企画イベントφ-phi(カフェバーオドリコ・大阪)。2006年、グループ展 HYBRID(ギャラリー光陽堂・大阪)。2009年、The extracted element Ⅱ(Oギャラリーeyes・大阪)に出品。本展では、ケント紙に色鉛筆で展開図を思わせる人物のイメージを描いた作品を出品する。
※全文提供: Oギャラリーeyes
会期: 2010年12月13日(月)-2010年12月25日(土)
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