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梶原航平:Youth
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 9月 11日

 

児玉画廊|京都では9月7日(土)より10月12日(土)まで、梶原航平個展「Youth」を下記の通り開催する運びとなりました。2010年「Flashback」(児玉画廊|京都)、2011年「Wildfire」(児玉画廊|京都)に続き、2012年のグループショー、ignore your perspective 15 -ノヴァーリス「青い花」について-(児玉画廊|東京)での新作発表を経て、本展は梶原にとって三度目の個展となります。
梶原は「絵を描く」という行為について、恣意的なイメージを単に描写する事ではなく、「自らのコントロールを超えた領域にある、より強烈なイメージを獲得する事」であると、一貫してその認識に基づいて作品制作を続けています。初個展「Flashback」においてシリーズとして発表した「パレス」と題する一連の作品では、ダイナミックな建築物の空間描写をすること、その内部で起きている「あり得ない現象」を描く事、大きめのストロークでモチーフの形質を素早く的確に捉えること、という決めごとの中で描かれたものです。そうすることによって、スタイルが固定化され、ある種の様式やパターンに敢えて陥ることで、制約によって自らが自由に「コントロールできない」中で生まれてくるイメージを見出だそうとしたのです。
続く「Wildfire」展においてはその決めごとを一切排除して、むしろ沸き上がるイメージを解放し、梶原自身の言葉を借りるなら「敵陣に炎を投げつける」ように、その剥き出しのイメージを画面へ投じたのです。その作品は、頭上のイメージを強制的にキャンバスに投写したと言うに相応しく強く粗暴で、しかし同時に、「絵」として整えられる前のイメージの純然たる美しさのようなものを秘めていました。それはつまり、「パレス」で試みたのとはまるで対極的なやり方によって自らのコントロールを超えたイメージを得る道を開いたのだと言えるでしょう。
今回の個展では、その両極に大きく広がった振幅を一つに集束させようとしています。まず作品を制作するにあたって、目の前にあるものや実際にある状況を「リアリティ」、つまりイメージに相対する現実感として一旦記憶した上で、徐々にその像を歪め、違った解釈を付与して作り変えていきます。「リアリティ」を元にイメージされたものの内部に、更に次のイメージを求めて沈潜し続けることで複数の事象と現象が極限まで溶け合い、結果として、「リアリティ」の原型を微かに匂わせながらも抽象化した画面として表されています。梶原らしい明瞭でスピード感のあるおおらかな筆致によって複雑さはなく、ただ画面の奥底に何かが潜んでいるのだという予感を見る者は強く覚えます。「パレス」のように制約の中で醸成するようにイメージを得るのでもなく、また自分の中にあるイメージを剥き出しにする事によって自我のコントロール下から強引に逸脱しようと言うのでもなく、素早く振り抜かれたストローク一つ一つの中に多くの要素を潜在させ飽和させていくことで、見る者にとっても自らにとっても決して一様でない「リアリティ」を秘めた「強烈なイメージ」として、それを目にした者の心を震わせる作品を描こうとしているのです。  

敬具
2013年9月
児玉画廊 小林 健


全文提供:児玉画廊 | 京都
会期:2013年9月7日(土)~2013年10月12日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月曜、祝日
会場:児玉画廊 | 京都
最終更新 2013年 9月 07日
 

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