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生誕120年記念 石垣栄太郎展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 9月 05日

石垣栄太郎《新宮中学時代スケッチ》1908 鉛筆、紙 太地町立石垣記念館蔵

和歌山県太地町に生まれ、出稼ぎ移民としてアメリカに渡り、1920年代から40年代にかけてニューヨークを中心に活躍した石垣栄太郎(いしがき・えいたろう/1893-1958)の生誕120年を記念し、その足跡を紹介します。

和歌山県からは、紀南地方を中心に多くの人々が移民としてアメリカへ渡りました。そのなかには石垣栄太郎をはじめ、浜地清松(はまじ・せいまつ/1885-1947)やヘンリー杉本(へんりー・すぎもと/1901-1990)など、アメリカで画家として活躍した人物がいます。戦前における美術の中心はヨーロッパ、とりわけパリであり、日本の近代美術史も彼の地に渡って美術を学び、帰朝した作家がその中心として記述されます。もちろんそれは重要な歴史ですが、当館は、アメリカという場所で活動した作家たちの足跡も、日本の近代におけるもうひとつの美術の歴史として残すべく、調査研究やコレクション、展示活動を継続しておこなっています。

多くの渡米画家にとって、アメリカに渡った目的はまず生活のためであり、絵を学ぶことではありませんでした。現在の和歌山県東牟婁郡太地町に生まれた石垣栄太郎も、1909(明治42)年、15歳の時に新宮中学を中退し、出稼ぎのためアメリカに渡っています。数々の職を転々としながら、カリフォルニア州立大学美術学校や、ニューヨークのアート・スチューデンツ・リーグなどに学び、画家としての活動を始めました。片山潜(1859-1933)と出会い、ロシア革命と前後して社会主義の運動に目覚め、1920年代には当時の生活・風俗などを描くソシアル・シーンの画家として認められるようになります。大恐慌後の1930年代からは、失業、人種差別といったアメリカの抱える問題をテーマに制作し、メキシコ壁画運動の影響も受けながら、より大きな画面へと作品は展開しました。日中戦争や太平洋戦争が勃発してからは、反戦や反ファシズムを訴える作品を数多く手がけています。

この展覧会では、激動の時代をアメリカという場所で生きた、石垣の足跡をご紹介します。また、太地町立石垣記念館の協力を得て、若き石垣に大きな影響をあたえた女性彫刻家ガートルド・ボイル(1878-1937)の作品など新出資料も公開します。

1997年に当館で開催した「アメリカの中の日本 石垣栄太郎と戦前の渡米画家たち」展以来、16年ぶりの回顧展になります。ぜひご覧下さい。

【関連事業】

講演会「海を越える太地:南紀州移民史」

講師:櫻井敬人/太地町歴史資料室学芸員

10月14日(月・祝)14:00から、2階ホールにて(13:30開場、先着120名、聴講無料)



講演会「石垣栄太郎の生涯と作品」

講師:奥村一郎/当館学芸員

9月23日(月・祝)14:00から、2階ホールにて(13:30開場、先着120名、聴講無料)



フロア・レクチャー(学芸員による展示解説)

9月7日(土)、9月16日(月・祝)

14:00から、2階展示室にて(要観覧券)



こどもギャラリートーク(子どもを対象にしたトーク/大人のみ、親子での参加も可)

9月29日(日)、10月6日(日)

14:00から、2階展示室にて(要観覧券)

全文提供:和歌山県立近代美術館


会期:2013年9月3日(火)~2013年10月20日(日)
時間:9:30 - 17:00(入場 - 16:30)
休日:月曜日 ただし9月16日、23日、10月14日の祝休日は開館し、翌日火曜休館
会場:和歌山県立近代美術館

最終更新 2013年 9月 03日
 

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