やなぎみわ:婆々娘々 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2009年 7月 14日 |
やなぎみわは、京都市立芸術大学大学院修了後、1993 年の初個展で一躍注目を集めました。以後2004 年の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川)、2005 年の原美術館(東京)やニューヨーク、ヒューストンでの美術館における個展開催、世界各地での様々な国際展への参加などを通して高い評価を獲得し続けています。また2009 年に開催されるヴェネチア・ビエンナーレでは日本館の代表として出品することが決定しています。 やなぎの作品には、CG や特殊メイクを用いた写真作品「エレベーター・ガール」、「マイ・グランドマザーズ」や「フェアリー・テール」シリーズなどがあり、写真作品に関連した映像インスタレーションも知られています。作品に映し出された現代社会に生きる様々な女性像からは、ジェンダー、老い、生と死、自己と他者との関係性といった我々の生活に潜む諸問題が提起されています。 関西では7 年ぶりの個展となる本展では、モデルとなる女性が自らの理想とする半世紀後の姿に扮する「マイ・グランドマザーズ」シリーズ全作品を一堂に展示するほか、ヴェネチア・ビエンナーレに出品される最新作も現地での発表後、日本国内ではいち早く紹介する予定です。個々の作品はもちろんのこと、やなぎにより熟考された展示構成も含め、さらなる飛躍を見せるその魅力に迫ります。 ※全文提供: 国立国際美術館 |
最終更新 2009年 6月 20日 |
今年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表の、やなぎみわの個展。先の東京都写真美術館では≪My Grandmothers≫シリーズのみの展示だったが、本展では旧作の≪Fairy Tale≫シリーズに加え、ヴェネチアで発表の新作≪Windswept Women≫(4000×3000mm)シリーズも展示されている。新作の、一つのからだに老若が同居する、豊満な/垂れ下がる乳房を見せつけ大袈裟なポーズをとる老女/娘の巨大な写真が、踊っている場面であることは同所に流されている≪The Old Girls’Troupe≫(10分)から判別できる。写真からはあまりに演劇的と感じたが、映像からは歓喜と悲哀が折り重なるやなぎのアイロニカルな眼差しを見ることができた。なお同展が開催中のB2フロアは「慶応義塾をめぐる芸術家たち」が同時開催中だが、明確に区切られておりどちらも見やすい。