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ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 7月 15日

山口晃≪當世おばか合戦-おばか軍本陣圖≫2001年 | Courtesy the artist and Mizuma Art Gallery | copyright (c) Akira YAMAGUCHI

本展は、日本屈指の現代美術のコレクターとして知られる精神科医・高橋龍太郎氏が収集した作品により、世界から注目を集める1990年代以降の日本の現代美術の流れと動向をたどるものです。若手作家の作品を積極的にコレクションし、国内外で活躍する多くのアーティストたちのデビュー当時の作品や代表作が数多く揃った、1000点以上におよぶ豊富なコレクションは、この10年の日本のアートシーンを語るうえで欠かせないものです。

現代用語のひとつとして取り上げられるようになった「neoteny(幼形成熟の意)」をキーワードに、高橋コレクションから33人の作家の作品を選び、本展を構成しました。奈良美智、村上隆など国際的に活躍する作家から若手まで多彩な作家による絵画、立体、映像、インスタレーションなど約80点の作品をご紹介します。

出品作家(33名)
会田誠、青山悟、秋山さやか、池田学、池田光弘、伊藤存、小川信治、小沢剛、小谷元彦、加藤泉、加藤美佳、工藤麻紀子、鴻池朋子、小林孝亘、佐伯洋江、さわひらき、須田悦弘、高嶺格、束芋、千葉正也、照屋勇賢、天明屋尚、できやよい、奈良美智、名和晃平、西尾康之、町田久美、Mr.、三宅信太郎、村上隆、村瀬恭子、村山留里子、山口晃(50音順)

※全文提供: 上野の森美術館

最終更新 2009年 5月 20日
 

編集部ノート    執筆:小金沢智


精神科医・高橋龍太郎氏によって収集され、鹿児島、札幌と巡回し今上野に展示されている作品が、90年代から現在にかけての日本の現代美術のひとつの様相をあらわし、そのコレクションの規模の大きさ、重要さが特筆すべきものである点を否定はしない。しかし言うまでもなく、幼形成熟を意味する「ネオテニー」がそれらの作品に当てはまるとしても、その言葉は日本の現代美術すべてに適合する概念ではない。そして、ここに展示されている作品を取り扱っているごく一部のギャラリー以外にもギャラリーはあり、コレクターは存在し、作家は作品を作っていることを忘れてはいけない。批評的眼差しを持たないかぎり、本展はある一つの価値観の無思慮な賛美で終わるだろう。


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