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梅津庸一:ゴールドデッサン
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 7月 07日

≪裏切り者≫2008年|h.24.1×w.19.2cm|板に金筆|画像提供:ARATANIURANO | copyright (c) Youichi UMETSU

≪Japanese plane≫2008年|h.22.1xw.22.1cm|板に金筆|画像提供:ARATANIURANO | copyright (c) Youichi UMETSU

梅津庸一は1982年山形県生まれ、東京造形大学絵画科を卒業後、第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展(2006年/準大賞受賞)、VOCA展(2009年)に選出されるなど、期待の若手ペインターです。 梅津の作品には、油絵、金属の先端によって描かれる素描(メタルポイント)、ペン画、の3つの技法によってそれぞれ描かれた3タイプの作品があります。いずれも点描のような細かなタッチで繰り返し描き出される独特の手法は、小学2年生の時からのものであることが最近になって発覚し、この逃れられない特徴を作家自ら「手癖のようなもの」と言います。

昨年のARATANIURANOでの初個展では、油彩による細密な自画像を中心に、戦死した大叔父のメタルポイントによる肖像画、ドローイング、身の回りの生活用品やプライベートな記念品なども併せて展示し、作家としての自分と個としての自分の境界線、あるいは重なる部分を呈示するような、初々しくも瑞々しい展示となり話題を集めました。 一転して、今回の個展では、ゴールドのメタルポイントによって描かれた「金の素描(ゴールドデッサン)」に的を絞って展示を構成致します。 本展にあたり梅津は、素描(デッサン)を単に絵画(タブロー)に対しての素描と捉えるのではなく、より広い意味での「素描」として捉え直してみたいと言います。 モチーフは、飛行機、女の子、マレーヴィッチの黒い正方形の素描、女性誌、人影、花、手……など様々で、いずれも、写真やネット画像、スケッチなどから、作家が描きたいと思ったものだけを連想ゲーム的に抽出し、アトリエではなく、野外やファミレスの窓際の席など、敢えて自然光のもとで描かれています。一見すると銅版画や写真のように見えるほどに細密に描かれた画面は、近づけば黒い粒子のひとつひとつが蠢き出し、金属的な反射をたたえた表面は怪しげな光りを放ちます。

※全文提供: ARATANIURANO

最終更新 2009年 7月 11日
 

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