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大坂秩加:Sの外的要素たち
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2013年 5月 30日

『その愛は必ず自分に戻ってくる』 2013 アクリル、水彩、色鉛筆、白亜地、麻布、パネル 80.0 x 150.0cm

GALLERY MoMo Ryogoku では5 月18 日(土)から6 月15 日(土)まで大坂秩加による個展「S の外的要素たち」を開催致します。
大坂秩加は1984 年東京生まれ、東京藝術大学では油画を専攻の後大学院修士課程に進んで版画を学び、2011 年に修了しました。在学中の2009 年当ギャラリーでのグループ展でデビュー、その後の「ULTRA」で一躍脚光を浴びました。同年の版画協会展に於いて立山賞を受賞し、翌年シロタ画廊での受賞記念展で多くの人に注目され、その年のシェル美術賞展では審査員賞を受賞、続く2011 年、当ギャラリーでの個展でその評価を揺るぎないものにしました。
当初から大坂は版画、水彩、アクリル絵具と技法にこだわりなく作品を展開し、版画作品はリトグラフでありながら浮世絵を思わせる木版のぼかしなどの技法を駆使し、それは水彩やアクリル絵具による表現にも生かされています。  描かれる世界も衣装や小物、さらに背景に至るまで日本的な様式と文様をリアルで、一見古風でありながらモチーフは現代的です。描かれる人物は作家と等身大と思われ、過酷な状況を経てもなお淡々と日常を生き抜く人間の、その姿が懸命であればあるほど、どこか滑稽で間が抜けている健気な姿を生き生きと、限りない愛情を込めて描いています。  制作にあたっては言葉をモチーフにし、言葉から想像される場所や人物からひとつの物語を紡ぎ、そのワンシーンを切り取って描き、しかしその表現は必ずしも直接的なものでなく、また作品を補完するものでもありません。その関係は当初から大坂の脳裏にあり、一体をなす表現方法で絵画作品だけで充足している訳ではなく、文章も含めた作品と捉える事ができます。
今展では「佐々木志江(S)」という想像上の人物を中心にして、大なり小なりの関係の中からそのつながりに眼差しを向け、相関図を見るかのように、それぞれの物語と絵画作品が展開して行く実験的な展示を予定しています。構想はかなり以前からノートにしたためられてあったとのこと、ソーシャルネットワークを持ち出すまでもなく、私たちの今は多くの人が間接的につながっており、その相関関係は果てしなく拡がっていて、大坂の視点と重なります。
今展ではペインティング、ドローイング作品約10 点、版画作品3 点による展示を予定しております。新たな展開を予期させる展示にご期待下さい。

[作家コメント]
一見誰とも交わりの無い、それぞれの生活を懸命に過ごしている人たちが、佐々木志江(ささきしえ)という人物を介して繋がっていく。その中心となる人物を形成する要素となった人たち。その人たちが、Sasaki Shie、「S」の外的要素としてひとつの場に集まったとき、ぼやけていた人物が浮かび上がってくる。今展では、見るだけでなく、ぼんやりと感じることの出来る中心人物「S」の輪郭も探っていただければと思います。


全文提供:ギャラリーモモ両国
会期:2013年5月18日(土)~2013年6月15日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:ギャラリーモモ両国
最終更新 2013年 5月 18日
 

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