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松井紫朗:Forwards Backwards
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2013年 5月 02日

 

新鮮で意外性に満ちた空間概念を提示しつづけてきた美術家、松井紫朗による個展を開催します。

先端がじょうごのように開いた導管を方々へ伸ばし、壁や距離によって隔てられた空間に声を通わせたり、建築空間と一体化した巨大なバルーンを膨らませ、観客に作品の「内」と「外」の両方を体験させたり、水面が湖の内側へと吸い込まれていく「滝」を出現させたり・・・。多様な素材とスケールで展開される作品は、観客の視覚的・身体的な経験を通して、内/外、こちら側/むこう側といった領域を反転させ、あるいは部分的に繋ぎ合わせて延長し、私たちが普段当たり前と思っている空間認識のあり方に揺らぎや葛藤を引き起こし、新たな次元へと押し拡げていきます。

このような「分節化しつつ繋げる・反転させる・延長する」という空間構成についての認識を活性化させ、時には観客の知覚をメタフォリカルに表現するメディアとして、空気・水・金魚・水生植物といった流動的な素材や動植物を、松井はしばしば作品に取り入れます。今回の個展も、基礎となる形体に環状の回路が接合された独自の造形を、新たな素材である陶(焼き物)によって実現し、そこに水や金魚などのメディアを融合させた意欲的な新作群によって構成される予定です。

松井は、庭(とりわけ日本式庭園)を自身の制作の発想源として常に参照してきましたが、本展では、作品のひとつひとつが多様な空間認識を誘発する装置、すなわち「庭」として配置されます。観る者の想像力を刺激する様々な要素が仕掛けられた個々の作品空間=「庭」の中を回遊し、あるいは、相似的な姿でありながら互いに差異を持ち合わせた「庭」から「庭」を行きつ戻りつすることで、私たちの知覚は、自らをとりまく世界との複雑で豊かな関係性へと開かれていくことでしょう。

[作家プロフィール]
松井紫朗 | Shiro Matsui
1960 奈良県生まれ
1984 京都市立芸術大学美術学部美術科彫刻専攻卒業
1986 京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了
現 在 京都市立芸術大学美術学部教授

【主な個展】
1990 「今日の作家シリーズ 松井紫朗彫刻展」大阪府立現代美術センター
1993 ギャラリー・カーラ・シュトゥッツァー、ケルン
1994 ザールブリュッケン市立美術館
1995 ヴェヴェルカ・パビリオン、ミュンスター
1997 「エステュディオ」ガレリア・ヘルガ・デ・アルヴィア、マドリッド
2000 「dance, drink...」インターヴァル、ヴィッテン
2001 「Vessels in Vessel」白土舎、名古屋
2002 「Days Daze」CASO、大阪
「Days Daze Yokohama」ヨコハマポートサイドギャラリー、横浜
2003 「Glossy Dark」信濃橋画廊、大阪
2004 「The Inside\'s Outside」白土舎、名古屋
「The Outside\'s Inside」ハイデルベルガー・クンストフェライン、ハイデルベルク
2005 「...schnarchen?」アートテーク、ケルン
2006 「Shiro Matsui Jonah\'s Green」ハウス・エスターズ、クレフェルド美術館、クレフェルド
2007 「what goes in comes out」白土舎、名古屋
2008 「松井紫朗のポアンカレ予想」白土舎、名古屋
2010 「Hundreds of Gardens」アートコートギャラリー、大阪
「松井紫朗 Aqua- Lung Channel」白土舎、名古屋
2011 「亀がアキレスに言ったこと―新しい世界の測定法」豊田市美術館

【主なグループ展】 (2000年以降)
2000 「Trading Views」ザールブリュッケン市立美術館 / シュテーティッシェ・ギャラリー、エアランゲン 他
「プライム:記憶された色と形」東京オペラシティーアートギャラリー
2001 「美術館を読み解く」東京国立博物館表慶館
2002 「SYDNEY FESTIVAL 2002」ザ・ストランド / ザ・キュー・ヴィー・ビー、シドニー
2003 「表象都市 metamorphosis 広島」旧日本銀行広島支店
2004 「楽しむ空間・一歩前へ!」宮城県美術館
2005 「αmプロジェクト Vol.9 松井紫朗+藤城凡子」ASK?、東京
2006 「TOUCH ART」川越市立美術館
「居心地のよい場所」春日井市文芸館
「未来の記譜法」京都芸術センター
「画家の立体と彫刻家の平面」白土舎、名古屋
2007 「第22回現代日本彫刻展」宇部市野外彫刻美術館
2008 「大阪・アート・カレイドスコープ2008」大阪証券取引ビル 他
2009 「FESTIVAL @RT OUTSIDERS」ヨーロッパ写真美術館、パリ
2010 「OAP彫刻の小径2010<un-syntax>」OAP公開緑地内、大阪
「Trouble in Paradise / 生存のエシックス」京都国立近代美術館
「あいちトリエンナーレ2010」愛知芸術文化センター 他
2011 「神戸ビエンナーレ2011招待作家展:REFLEXIONEN ひかり いろ かたち」兵庫県立美術館

【パブリックコレクション】
宇都宮美術館、京都市美術館、豊田市美術館、新潟県立近代美術館、兵庫県立美術館(山村コレクション)、
山口県立美術館、京都市立芸術大学、文化庁、京都府、宇部市、米子市、ザールブリュッケン市、ダイムラーク
ライスラー

◆関連イベント:5月11日[土] *無料、予約不要
15:00 - 16:00 アーティスト・トーク
16:00 - 17:00 レセプション

全文提供:アートコートギャラリー


会期:2013年5月11日(土)~2013年6月22日(土)
時間:11:00~19:00(土曜日11:00~17:00)
休日:日・月
会場:アートコートギャラリー

最終更新 2013年 5月 11日
 

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