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一井弘和:空想旅行
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 6月 07日

≪虹色坐像≫2009年 樟に彩色・人工パール H188×W43×D39cm(台座を含む) copyright(c) Hirokazu ICHII

椅子に腰掛け思いを巡らせている人が居る。
遥か彼方を見ているよう。
遥か未来を見ているよう。
遥か太古を見ているよう。
そこからは何が見えるのだろう?
肉体に留まりながらも悠久の宇宙を旅する心は永遠なのだろうか?

一井弘和は2006年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了し、現在は自身のアトリエにて制作に励んでいる。樟を素材に使用し、小さなドローイングと大きな水彩画を数枚描くところから制作は始まる。イメージを膨らませた後、仏像の制作でも用いられる矧ぎ割りという技法で、体の主要部位や、各所を掘り出し彩色後、バランスを見ながら必要に応じて、さらに掘り込んでいく。

椅子に腰掛け、じっと空を見つめる人物は実在する者として、生命感を感じさせる。それは木という素材のせいか、はたまた題材のためか。思いを馳せる穏やかな表情に思わず引き寄せられ、考えを巡らせてみる。その想像はやがて見る者の内側にある小宇宙へと向かう。
今展では「空想旅行」と題し、立体作品3点、ドローイング作品を展示致します。一井の作り出す人物作品と共に、しばしの「空想旅行」をお楽しみ頂ければ幸いです。

一井弘和/Hirokazu Ichii
1980 兵庫県神戸市生まれ
2004 東京藝術大学美術学部彫刻科 卒業
2006 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了
受賞・展覧会 歴
2003 「国際瀧富士美術賞受賞」
2004 「サロン・ド・プランタン賞」 受賞  
2006 「第1回アトリエの末裔あるいは未来」展(上野桜木 旧平櫛田中邸 東京)
2007 「物語の彫刻」展(東京藝術大学大学美術館陳列館)
2008 「東京コンテンポラリーアートフェア2008」(東京アートフォーラム)
2009 「アートフェア東京」(東京国際フォーラム)

※全文提供: 文京アート

最終更新 2009年 7月 18日
 

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