| EN |

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012
編集部ノート
執筆: 黒木 杏紀   
公開日: 2012年 11月 15日

画像提供:六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012事務局

    晩夏から初冬に向けて六甲山上では、多彩なアートの展覧会「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012」が開催中。招待作家16名、公募作家16名、総勢32名の作家によるアート作品の展示が六甲の自然豊かな風景の中で繰り広げられます。まだ行ったことがない人にも分かりやすく、六甲ミーツ・アートの見どころをご紹介。

    まずなんといっても、公募大賞受賞作品は要チェック。グランプリをはじめ、六つの受賞作品があります(HPに詳細掲載※1)。グランプリ受賞作品今村遼祐による「森と街灯」は、見つけるのがちょっと大変だけれど、小さな明かりがポツポツと岩陰の草むらに灯る光景は、自分が巨人になって夜の街灯りをのぞき見る気分。小さな命の息吹すら見えてくるよう。
    個人的にオススメは、横田健司の作品「65rooms」。建築家らしい1メートル四方の木棚の中に8個×8個で計64個に区切られた小部屋。一つ一つに物語があり、様々な場面が作りこまれていて、次は何があるのかワクワクしてくる。出来れば64部屋すべて見て欲しい。下の方は、芝生に這いつくばって見なきゃならないけれど、そこまでしてでも見たくなる作品。そんな自分の姿にも笑えてきて、子どもに戻った気分。悔しいことに作家はそこまで狙っているのだそう。
    招待作家のイチオシは三つ。一つ目は、加藤泉の作品「無題」。初めての野外展示になるとか。木彫りの像が草むらにぬっと出てくる様子は、少々不気味。けれどそれが癖になりそう。そのうち苔や草が生えてきてもおかしくない。
    招待作家二つ目は、しりあがり寿の作品「レストランの秘密」。丸テーブル上のモニターには4コマ漫画の映像。甘いものもあれば、しょっぱいもの、苦いもの、レストランには色んな味がある。そして人生も。日常のことってぼんやりしていると何気なく通り過ぎちゃうけど、でもそれこそが本当に大切なものだったりするんじゃない?、というメッセージとも読み取れる。それから、しりあがり寿の作品をもう一つ。六甲山頂の奥のレストランの、そのまた奥にある厨房、そこで作られているものは・・・。実は野球チームの一軍登録選手の開発、きっとそうに違いない!という妄想を形にしてしまったバージョン。六甲おろし※2の風吹く球団といえば、関西人の方はお分かりですね。※3
    そして忘れてならないのは、何度見ても初めて見たときの切なくなるような感動が忘れられない、大好きなクワクボリョウタのシリーズ作品「LOST♯7」。暗闇に模型列車が照らし出していく光景はノスタルジーな世界。毎回座り込んで見入ってしまいます。

    ここに紹介した以外にも、楽しく・びっくり・感動満載な作品が盛りだくさん。オリエンテーリング気分でアート作品を探す楽しみもあり、六甲の大自然にアートにとリフレッシュ出来ること間違いなし!の展覧会です。

全出展作品を対象に、来場者が人気投票を行う「六甲ミーツ・アート大賞決定!」※4 ・グランプリ / クワクボリョウタ 「LOST #7」
・準グランプリ / 横田健司 「65 rooms」
・特別賞 / しりあがり寿 「レストランの秘密」


※1 http://www.rokkosan.com/rokkomeetsart2012/
※2 季節風が六甲山頂に当たってから、加速度をつけて吹き降りてくる北風。阪神タイガースの歌は通称六甲颪(おろし)という。
※3 六甲おろしの球団といえば、もちろん阪神タイガース
※4 2012年11月6日発表(HPに詳細掲載) 
http://www.rokkosan.com/rokkomeetsart2012/news/news/20121106_4296/

 

最終更新 2012年 11月 15日
 

| EN |