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川俣 正:Expand BankART
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 11月 06日

 

川俣正は1980年代の活動初期から国内外で注目され、この30年間、常に「美術と社会」との関わりについて、新しい話題を提供し続けてきました。壁、床、天井といった建築的なエレメントをテーマに、木材(廃材など)を用いての新しい空間構成は、インスタレーションという言葉を確立させました。また建物内外を木材が縦横無尽に貫入する建築的なプロジェクトや、都市を構成するインフラや部位(小屋、船、歴史的建造物、道、塔等)をテーマにしたプロジェクトは美術・建築の世界を超え、都市にインパクトを与えてきました。さらに「マイノリティ」にも視線を注ぎ、「放棄された建物」「スラム」「ホームレス」「障害者」「炭坑」等の可能性を深く探ってきました。このように都市の様相と関わりながら、その場をまき込んでいく表現は、造形的(空間的)なインパクトとともに、社会的なメッセージを発信し続けてきており、「ワークインプログレス=現場性」は、多くの人々に影響を与え、関わった各人に新しいアクティビティの発芽を促してきました。

現在、川俣氏はパリを拠点に活発な活動をさらに展開していますが、今回BankART Studio NYKでは、久々に活動初期から行っている建物内外と関わるプロジェクトを展開します。現在NYKの近くで、UR都市機構が昭和30年代竣工の海岸通団地の建替事業を推進しており(新築の高層建築は既に完成)、現在残っている建物群がこれから解体されます。川俣氏は今回その建物に使われていた大量の木製建具等を使ったプロジェクトを計画しています。現時点では、NYKがどのように、どこまでexpand(拡張)されるか定かではありませんが、UR、河岸、NYK内外装等と反応しながら展開していくプロジェクトになることは間違いありません。 また、制作中や会期中にも様々なイベントが挿入されます。「kawamataスクールagain」はもとより、氏のインスタレーションの中での展覧会や講演会、コンサート等が随時開催されます。カタログも3回配本(予約制)され、連動した個展も日本大通りのギャラリーで開催されます。 多様な都市空間と人々、できごとが川俣氏を巡りながら展開していきます。横浜の秋から冬の広い空に、川俣氏の作品が響きわたることを楽しみにしたいと思います。

[作家プロフィール]
川俣 正|かわまたただし
1953年北海道生まれ。1999年より2005年3月まで東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。現在、パリ国立高等芸術学院教授。1977年より発表活動を始め、第40回ヴェネチアビエンナーレ(1982年)以来、国内外で多数のプロジェクトや展覧会に参加・発表。インターナショナルな活動がローカルな地域でどのように生かされるのかを試す「インターローカリゼーション」を提唱。

レセプション=2012年11月23日(金) 19:00-

全文提供:BankART Studio NYK


会期:2012年11月9日(金)~2013年1月14日(日)
時間:11:30-19:00
休日:1月1日
会場:BankART Studio NYK

最終更新 2012年 11月 09日
 

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