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Hiroshige Fukuhara:RECURSION
Events
Published: August 29 2012

"the recursive world getting to be night #1" 2012
pencil, black gesso on wooden panel, 700 x 700 mm

"the generation (mare)" 2012
resin, black gesso, teakwood, 300 x 400 x 140mm

"the recursive world getting to be daylight #3" 2012
acrylic, silkscreen and silver leaf on paper mounted on wooden panel, 700 x 700 mm

このたび、AI KOWADA GALLERYでは本ギャラリーで2回目となる福原寛重の個展「Recursion」を開催いたします。大学在学中の97年にアーティストとしてフィリップ・モリス・アワード、ファイナル・セレクションに選ばれ、PS1MOMAでのグループ展に参加し若手アーティストとして脚光を浴び始めたころにグラフィックデザイナーとして転向した福原は現在、ソニーエリクソンの企業ロゴや、ソニー/walkmanの商品ロゴなどを制作したデザイナーとしても活躍しています。

09年ごろよりアーティストとしての制作を再開して以来福原は「鉛筆で無数の正確な実線を描いてモティーフを構成する」というユニークな技法をもちいた平面作品を発表しています。97年以来13年ぶりの新作発表となったPULSE アートフェア(ニューヨーク/マイアミ、2010年)では個展ブースごと即日ソールドアウト。今年3月にニューヨークで開催されたアメリカ最大のアートフェア”The Armory Show”でも完売し、現在欧米のコレクターに注目されています。また福原は「ただひたすら線を描くというシンプルな行為を表現へと昇華させ、彼に描かれた実線の集積は奥行きや混沌とした世界観を表現している」とその独特な技法のみならずすぐれた表現力でも高い評価を得ています。

福原は黒く塗られたキャンバスに鉛筆で葉や花、波や馬などのイメージをいっさいの下書きも作らずに均等の細さや等間隔で無数の実線で描きます。キャンバスは一見するとただ黒い画面ですが、間近で見ると鉛筆で端から端まで描き尽くされたそれらのイメージが浮かび上がります。黒の地に鉛筆というシンプルなメディアの特徴により見る者の環境(画面までの近さや明るさの種類)によりイメージはさまざまに表情を変えるのです。本展覧会では代表的なスタイルによる新作に加え、銀箔やステンレスをもちいたスクリーンプリントによる平面作品や、ドローイングをひっくり返し天地を生じさせる表現によって制作される立体作品という新しい技法をもちいた新作も発表します。   

福原は本展覧会のコンセプトを「落下」すること、すなわち論理や法則からの離反だと言います。福原の、ただ「線を書く」というシンプルな動作により表現されるその作品は “表現があること(実線)/表現がないこと(空間)”の間の葛藤を描いているともいえます。さらに福原は制作の瞬間に宿る「今」と真摯に対峙することにより、物理的な法則、構成・バランスといった彼自身のなかにもある作為や意図から自由になることに挑んでいるのです。ぜひご高覧下さい。

[作家プロフィール]
福原寛重

1975年大阪府生まれ、東京都在住。大阪芸術大学卒業。
主な展覧会に、「Binary」(AI KOWADA GALLERY、東京、2010年)、「BUZZ CLUB: News From Japan」(PS1、ニューヨーク近代美術館、ニューヨーク、アメリカ、2001年)、「開館記念展“メッセージ/言葉の扉をひらく”」(せんだいメディアテーク、仙台、2001年)、「第1回 フィリップ・モリス・アワード最終審査展」(スパイラル、東京、1997年)などがある。


全文提供:AI KOWADA GALLERY
会期:2012.9.1~2012.10.6
時間:12:00 - 19:00
休日:Sun/Mon/National Holidays
会場:AI KOWADA GALLERY
Last Updated on September 01 2012
 

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