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藤永覚耶:とどまり ゆらめく
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 7月 11日

「藤永覚耶展 foliage」会場風景  2012  Masayoshi Suzuki Gallery(岡崎・愛知)

写真のピントが鮮明に合った箇所よりも、ボケやブレにリアリティを感じる。それ は再現的なリアリティではなく、個人の先入観や価値観をぬぐい去った等価な世界 に立ち戻るような真実味を持った感覚である。
そこには時間や光の焦点など、本来形を一定に保っていない世界の状態の一端が 現れているように思う。そして、そこに個を離れた大きな世界の断片を感じ取ること ができる。
しかし、それと同時に、様々な基準の中で日常を営む自分がいて、そこに到達でき ないことを思い知らされる。そのような、日常を営む個の世界と、個を離れた非日常 で等価な世界との狭間で揺れ動くものを、平面イメージとして空間の中でいかに表 現できるかということを考え、制作を続けている。
僕の制作は、写真から得たイメージを、自分の手を通して綿布の上でインクの点に 置き換えてゆく。そして、一度固定されたそれらの点は、溶かされることで、もう一度 動き、混ざり合い、動きをとめる。そのように作られたイメージを、しばしの間、作品 というかたちで固定する。
今回の展示では、壁面展示の平面作品に加え、ギャラリーパルクの南から入る自然 光を取り入れた矩形の床設置の作品を展示する。
時間や天候によって変わる自然光の状態によって作品の見え方は変化し、その色彩 は、絶対的なものではなく、空間と呼応するような相対的なものとなる。  展示を通して、ただそこにあるイメージを、空っぽの状態で見て頂ければ幸いです。

[作家プロフィール]
藤永覚耶  Fujinaga Kakuya

1983 滋賀県生まれ
2006 京都嵯峨芸術大学芸術学部造形学科版画分野卒業
2008 愛知県立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了
おもな個展
2012 藤永覚耶展‒foliage‒ (Masayoshi Suzuki Gallery _ 愛知)
2011 into the water (GALLERY GOHON _ 愛知)
2010 THREE INDIVIDUALS 光森夢 (名古屋市民ギャラリー矢田_ 愛知)
2008 Alice Syndrome (GALLERY JIKISHITEN 愛知県立芸術大学サテライト
ギャラリー)

おもなグループ展
2010 アーツ・チャレンジ2010  (愛知芸術文化センター)
・INDIRECTʼ10 (GALLERY APA _ 愛知)
・STAY ‒常懐荘にて‒ (旧竹内邸・常懐荘_ 愛知)
2009 版画/視座/作家たち (ギャルリ・プチボワ_ 大阪)
・INDIRECT\'09S (GALLERY APA _ 愛知)
・落石計画第2期scattered seeds 残響 (旧落石無線通信所_ 根室・
北海道)
2008 INDIRECT`08M ‒箱の中の箱‒ (GALLERY APA _ 愛知)
・Thinking Print vol.2 ‒もうひとつの写真表現‒(京都芸術センター)
2007 individual sight (アートコンプレックス・センター_ 東京)
・第32回全国大学版画展 (町田市立国際版画美術館_ 東京)
2006 THE NEW FACES (石田大成社ホール_ 京都)
・第31回全国大学版画展‒買い上げ賞受賞‒ (町田市立国際版画美
術館_ 東京)
・CROSS BORDERS (シルパコーン大学PSG Gallery _ タイ)
2005 FRAME+松浦寿夫展 (海岸通りギャラリーCASO _ 大阪)
パブリックコレクション
町田市立国際版画美術館、京都嵯峨芸術大学

【関連イベント】=================
藤永覚耶・アーティストトーク
【日 時】 2012年8月5日(日) 17:00~
【聞き手】 平田 剛志氏(美術批評、京都国立近代美術館研究補佐員)
【内 容】 藤永覚耶によるスライドを交えた自作解説と、平田剛志を聞き手に迎えたアーティストトーク。


全文提供:Gallery PARC
会期:2012年7月31日(火)~2012年8月12日(日)
時間:11:00~19:00 *最終日18:00まで
休日:月
会場:Gallery PARC
最終更新 2012年 7月 31日
 

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