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椎木静寧キュレーション展:きこえないおと
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 6月 20日

Toshiya Tsunoda
Temple Recording
2011
Photograph, Resorded Sounds
size varies

Shigeru Matsui
Voice of Time
2010
Collected poems

Hiroharu Mori
Death Workshop
2011-
HD video, single channel video,
stereo sound
45 min 5 sec

[作家プロフィール]
●椎木静寧 Shizune Shiigi

1972 年山口県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。主な個展に「彫刻の庭」gallery21yo-j(2010 /東京)、「景色から」photographersʼgallery + IKAZUCHI(2008 /東京)、主なグループ展に「《写真》見えるもの/見えないもの」東京藝術大学陳列館+正木記念館(2007 /東京)、「字界へ̶隘路のかたち」長久手文化の家・他(2005 /愛知)、キュレーション展に「まばゆい、がらんどう」東京藝術大学大学美術館(2010 /東京)などがある。


昨年3月19日に実施する予定だった「きこえないおと」と題したイベントは、震災直後という状況下にあって中止を余儀なくされた。文字通り“きこえなかった”音たちは、震災後の流浪する社会と相対して、常に純粋な無音であり続けていた。私は、この音たちを忘れる事ができなかった。1年以上が経った今、イべントに出演を予定していた3名の作家による展覧会というかたちで、あらためて「きこえないおと」を開催することにした。この展覧会は、昨年3月にできなかった事柄を再表示するための企画ではなく、時の断裂から生まれた“純粋な無音”について、まったく別の地点から読み解く機会にと考えている。


●角田俊也Toshiya Tsunoda

1964 年神奈川生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科修士課程修了。振動や音響に関する展示作品や録音作品を国内外で発表。94 年から06 年まで芸術制作のためのレーベルWrk を運営。近年は映像作家ルーク・ファウラーやコンセプチュアルな音楽家等との企画や共同制作も行う。主な展示に、サウンド・アート 音というメディア(ICC 2001)、Half Life( スコットランド2007) 、横浜トリエンナーレ2008、DISPLACED SOUNDS (STUK Arts Centre ベルギー2010) 、SIMPLE INTERACTIONS.SOUND ART FROM JAPAN(Museet For Samtids Kunst デンマーク2012) 等がある。


私たちは二つの眼によってひとつの像を捉えている。私たちは決してそれを二つの像が重なったものとして体験することはない。聴覚も同様で、一つの音像として得られたものから、片方の耳の音だけを分けて識別することは困難だ。二つによって作られる一つの像。この像は体験として表れる。これを広げて考えてみる。2 人の人物の片方ずつの耳によって一つの像は作れないだろうか。二人共、個々の体験しか得られない。しかし、二人して対象を定め、何らかの手続きによって一つの像を捉える事ができるなら、二人による一つの像に視座があるという事にならないだろうか。これは客観としてあるのではないか。


●松井茂Shigeru Matsui

1975 年東京生まれ。詩人。武蔵大学人文学部日本文化学科卒業。編集プロダクション勤務、東京藝術大学大学院映像研究科でCREST の特任講師等を経て、芸術情報センター助教。近年はテレビジョンと現代美術の影響関係について国内外で研究、発表、上映をしている。詩集に『同時並列回路』『オルガ・ブロスキーの墓』『時の声』等。展示に「宥密法」(豊田市美術館)「エフェメラル」(ACAC)「美と価値」(府中市美術館)「いったい何がきこえているんだろう」(ICC)等。その他に「新国誠一展」の調査研究、「音韻と感覚イメージによる触感覚デザインの研究」代表、シニギワ(長嶌寛幸とのユニット)の活動等。


文字として書かれる詩が、音声を虐殺した記録であるとするならば、私の音声詩は、具体音から声、文字、パネル、写真、詩集、声(朗読)等々という偽装した亡滅の反覆であり、ひたすらにシラジラシイ。


●森弘治Hiroharu Mori

1969 年神奈川県生まれ。1994 年多摩美術大学卒業後、渡米。2004 年マサチューセッツ工科大学(MIT) 大学院修了。主に映像作品を制作、発表している。主な展覧会に、第3 回恵比寿映像祭(東京)、「5x5Castelló10 International Contemporary Art Prize」(カステジョン現代美術センター/スペイン)、「越後妻有アートトリエンナーレ2009」(新潟)、第52 回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際企画展(イタリア)、「アートスコープ2005/2006」(原美術館東京)、「The Burlesque Contemporains」( ジュ・ド・ポーム国立ギャラリー/フランス) など国内外で作品を発表。最近の個展に「Speech Rehearsals:students, housewives, politicians」(モナッシュ大学美術/メルボルン)、「Hiroharu Mori is Detached from the Outside World」( アートスペース/シドニー) など。

オープニングレセプション:2012 年6 月23 日(土)18:00 - 20:00


全文提供:TALION GALLERY
会期:2012年6月23日(土)~2012年7月21日(土)
時間:11:00 - 19:00
休日:日・月・祝
会場:TALION GALLERY
最終更新 2012年 6月 23日
 

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