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TWS-Emerging 2012 180/181/182/183
展覧会
執筆: カロンズネット編集3   
公開日: 2012年 6月 15日

TWS-Emerging 180 森部英司 《ジェネアオロジー 02》 2011 2011

TWS-Emerging 181間瀬朋成 《Computer Drawing (2011年10月23日 日曜日 13:52)》 2011

TWS-Emerging 182 酒井龍一 《Melt》 2011

TWS-Emerging 183 関山 草 《803,1303,31》 2011

森部英司はTWW2011平面部門において審査員長賞受賞作家です。美大を卒業後、乗馬クラブに勤務、主にインストラクター・調教・企画の仕事に携ったユニークな経歴の持ち主で、馬や馬具をモチーフにした作品や、実際の馬を使ったアート・パフォーマンス、入念な国内各地の生産牧場への訪問を繰り返し入念なリサーチを行いながら、インスタレーションをベースに制作活動を行っています。
今回のTWS-Emergingでは、森部は本郷に生産牧場(Production Ranch)を出現させます。 馬を育てること、美術作品をつくること ― 彼はそれらに共通点があるといいます。馬の生産牧場と作品制作のアトリエも、彼にとっては「美」の創出の場として同じステージであるのだといいます。
彼は、これまで出会った馬の顔(馬面)を1頭1頭、およそ実寸で描写しています。馬それぞれの特徴を捉えながら産毛、髪の毛まで1本1本丁寧に描くことは、まるで馬の髪を梳いて生産者の思いのままに仕上げたり理想を叶える行為に似ています。また、理想の姿・走りを目指して食糧や寝床を毎日のコンディションに合わせて用意するのも、素材の特性を的確に掴みながら作品を制作するのと同様、非常にクリエイティブな行為といえるでしょう。 血統、資金、環境...大切に思いを込めて微細な部分にまでケアをしながら育て、馬を調教していくプロセス、そのフィールドとなる生産牧場。果して森部は今回どのようなProduction Ranch(生産牧場)を示してくれるのか、期待が高まります。

間瀬朋成は、自然や日常をまなざす(よく観察する・視る)ことで、様々な可視・不可視の存在を認識しようと試みます。彼はスナップショットの被写体のアウトラインをコンピュータグラフィクスによりエッジ抽出したた「イメージ」データとして多用します。誰でも撮影可能なスナップショットに収められる日常生活でであう空間や人物、記憶といった親密でプライベートな要素を削がれてしまったアウトラインのイメージは、中身を失った抜け殻のように、形骸化した影のフォルムとしてあらわれます。
本展では、間瀬がPC画面を見ながら上記のアウトラインをペインティングに変換した≪Computer Drawing≫シリーズと、薄くスライスした木に人型のアウトラインを切り抜き、そのイメージを光に透過させることによって、遠目からは魂が抜かれた人影・あるいは群衆として、また近づいて見ると光に透けた杢目の模様ががサーモグラフィのように見える≪Tree of Life≫のインスタレーションを展示いたします。
また、隣室の小さなストレージルームでは、形を常に留めることのない流動的な自然物(噴出する水、溶けて消失する氷)からフォルムを抽出し・新しい観点を導き出す試みを提示いたします。

酒井龍一は現在京都を拠点に、コマーシャル・ギャラリーや国内のフェアなどでも活躍中のアーティストです。暗闇の中、仮面を付けて鑑賞者に視線を送る「顔」が描かれ、死生観・幽玄の世界へといざなう優れた作品を発表してきた酒井ですが、本展では、彼がSNSを介して知り合った人たち(SNS上で友人登録しているが、実際に会った事が無いなど)にSNS上で顔写真の提供を募り、写真提供を得た人たちの仮面を被った姿を描き出したポートレート群を展示します。
人の顔を描くという行為そのものが酒井にとって他者と向き合う手段でもあるように、ポートレートを描かれる対象者・描く酒井自身のコミュニケーションのプロセスも作品の隠れた要素となっているといえます。 本来的な意味での人間関係はブラウザ越しだけでは成立しないと理解しながらもインターネットを活用せざるを得ない状況を表現したい、という酒井。ノン・プロフィットでありオルタナティブなTWS本郷のスペースで新たな一面を見せてくれることでしょう。 尚、酒井の作品は、会期中、ほぼ同時開催で他ギャラリー(「Boundary」※外部リンク)においてもご覧頂けます。

アグレッシブに自身の絵画表現を追究しようと挑む関山草は、自らに内在する溢れんばかりの生命力をいかに率直に表現出来るかを大事にしているといいます。本展は、自らの直感と経験を信じ、ひたむきに制作を続けてきた彼なりの2012年における「最良の選択」を展示します。歴史という連続性を度外視してこそ追究しようとする彼の掲げる「芸術」とは、世界観・人生観とは。今後もますますの変貌を遂げるであろう関山の「今」を是非ご高覧ください。

[作家プロフィール]
180 森部英司 EIJI MORIBE

1978 愛知県生まれ
2001 名古屋芸術大学 美術学部 彫刻・造形学科専攻 卒業

主な個展
2011 EIJI MORIBE Exhibiton、BeWood、愛知
2011 EIJI MORIBE Exhibiton、Ginga、岐阜
2010 UMAZURA MEWS、Gallery Introart nagoya、愛知
2010 UMAZURA、Introart tottori、鳥取
2009 UMACTION、Big Mountain Ranch、静岡
2009 MAGIC BRIDLE、DoDo、愛知
2008 森部英司展、ギャラリーMOCA、愛知
2007 MAIZURU展 、シテ・ギャラリー、フランス・パリ
2005 4WD NATURAL TURBO、ギャラリーMOCA、愛知
2004 A simple emotion、Gallery ArtHut BMR、静岡
2004 go at gallop展、シテ・ギャラリー、フランス・パリ

主なグループ展
2011 Dアートビエンナーレ、ダイテックサカエ、愛知
2011 下馬ート【shimoumart 】、 gardenn 、東京
2010 名古屋港アートフェスティバル、名古屋港ポートビル、愛知
2010 Navigation 庄司 達 退官記念展、文化の道 橦木館、愛知
2010 トーキョーワンダーシード2010、TWS 渋谷、東京
2010 トーキョーワンダーウォール2008、東京都現代美術館、東京
2007 Animamix ビエンナーレ、上海現代美術館MOCAShanghai、中国・上海

主な受賞
2011 トーキョーワンダーウォール2011、審査員長賞、東京現代美術館、東京
2011 Dアートビエンナーレ、入選 ダイテックサカエ、愛知
2010 トーキョーワンダーシード2010、入選、TWS 渋谷、東京
2008 トーキョーワンダーウォール2008、入選、東京現代美術館、東京


181 間瀬朋成 TOMONARI MASE

日常にデジタルカメラが普及し、記念写真やスナップ写真という画像を迂回して「思い」が、形成されるようになった。私のモチーフは、PCのデータベースにある自身の写真を、コンピュータがアルゴリズムによってエッジ検出したものだ。これは、コンピュータが画像の個々のピクセルを調べることで「見ている」もので、演算処理されディスプレイに表示される。  それをまなざして描く。我々が見ている画像をいくら客観的に、中立的に見ようと思ってもそこには主観が含まれてしまう。そこで可能な限り具象性を検証するために、このようなコンピュータによる見方(実体が可視的になる)は理想的で、私は私の「思い」に背いて描くことができるのだ。


182 酒井龍一 RYUICHI SAKAI

1984 佐賀県生まれ
2006 市立尾道大学 芸術文化学部 美術学科 日本画コース 卒業
2008 市立尾道大学 大学院 美術研究科課程 絵画研究分野日本画専攻 修了

主な個展
2011 トーキョーワンダーウォール都庁2011、都庁、東京
2011  Masquerade、neutron tokyo、東京
2010 ゆめか、うつつか、まぼろしか、neutron tokyo、東京
2008 Daydream、Gallery b.TOKYO、東京

主なグループ展
2011 トーキョーワンダーウォール公募2011入選作品展、東京都現代美術館、東京
2011 来るべき世界、neutron tokyo、東京
2010 Home,Sweet,Home、neutron tokyo、東京
2007 シェル美術賞展2007、代官山ヒルサイドフォーラム、東京

主な受賞
2011 トーキョーワンダーウォール公募2011入選作品展
トーキョーワンダーウォール賞、東京都現代美術館、東京
2008 尾道大学修了作品展、大学買上賞、尾道市美術館、東京
2008 広島県・岡山県 HOPES展、優秀賞、ふくやま美術館、広島
2007 シェル美術賞展2007、入選、代官山ヒルサイドフォーラム、東京

パブリック・コレクション
《Gulag , Family , Window》《森林、食卓、公園》、尾道白樺美術館[尾道大学]、広島
《Waterfall,海辺》、昭和シェル石油、東京


183 関山 草 SO SEKIYAMA

主な展示
2011 トーキョーワンダーウォール公募2011入選作品展、東京都現代美術館、東京
2010 Rock the Future 2、代官山クラブ 「UNIT」、東京
2009 Cherry Brossom、アートカフェ 「ommbla」、東京
2005 Rock the Future、三軒茶屋のギャラリー、東京

主な受賞
2001 世田谷区高校生絵画展、銀賞、三軒茶屋 「キャロットタワー」、東京

■ 関連イベント:
オープニングイベント  日時:6月9日(土) ※終了しました
15:30~17:00 アーティストトーク
ゲスト: 日沼禎子氏
(女子美術大学准教授)
17:00~19:00 交流会
■ 作家在廊予定日:

森部英司
6/14(木)、19(火)、毎週土日

間瀬朋成
6/16(土)、22(金)、30(土)、7/1(日)
※最新情報はSNSでも公開


全文提供:トーキョーワンダーサイト本郷
会期:2012年6月9日(土)~2012年7月1日(日)
時間:11:00 - 19:00(最終入場30分前まで)
休日:6/11・18・25
会場:トーキョーワンダーサイト本郷
最終更新 2012年 6月 09日
 

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