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Rieko Kawabe
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Published: June 12 2012

「天・地・人」
2008
acrylic on canvas
162 x 65cm (a set of three pieces)

3歳の頃から書を初めた川邊りえこは、文字を基本に作品を制作しています。書家として、また神職として、古代文字に接してきた川邊にとって、文字を通した表現は天と地を繋ぐアプローチと言えます。メグミオギタギャラリーで開催される「KOTOTAMA」では新作を含めた約20点の作品を一同に介して発表いたします。

1997年より国内、国外で書のパフォーマンスを続けてきた川邊は、2008年にはパリ国立ギメ東洋美術館にて発表、2010年にはPOLA MUSEUM ANNEX個展、銀座三越オープニングにインスタレーションを行うなど、自分の身体を通して新しい書の在り方を提示し続けてきました。

『古代において文字は単なる記号ではなく、選ばれた人だけがこれを使うことを許された秘儀でした。"書く"という行為は大切なメッセージを発信する、特別なふるまいだったのです。文字とは、光であり、魂を癒す祈り。』

自らの呼吸と対話し感知されたエネルギーは、川邊の身体を通して静から動へと変化し、驚くべき筆力によって視覚化されていきます。支持体の上をうねるによう走る線、絵具の飛沫や墨の滲みそれぞれが魂を持つ物質として生命力を爆発させる様は、書の概念を覆します。

近年ではキャンバスにアクリルや油絵具を用いて、より絵画的なフォーマットで、古代文字の発する思想や力を現代へ蘇らせます。画面の中に浮遊するようにちりばめられた文字はその形を保ちながらも、抽象的な視覚の世界へ誘います。そこに描かれているのは意味を読み取るための文字ではなく、発散される力や、純粋な美を感じとることの出来る世界です。

近代に入り合理化の流れと共に、西洋的な文脈による意味付けと求められた美術界の中で、 日本人が直感的に感じ取ることに優れていた呪術的なるものは敬遠されてきました。 しかしいましきりに求められる「癒し」や「スロー」は、非合理として排除されてきた前近代的な感覚に本能的に寄り添おうとする心の表れの一端です。

川邊はそんな現代に、言霊を蘇らせるかのように、文字を通して多様な生命観を表現します。 時に激しく、時に静かに、海の波のように絶え間なく動きつづけるその表現は、まさに呼吸する文字であり、 日本の美の根源にある力を喚起します。

川邊りえこの「KOTOTAMA」をどうぞご期待下さい。

Reception: 7月13日(fri) 17:30 - 19:30


全文提供:MEGUMI OGITA GALLERY
会期:2012年7月13日(fri)~2012年8月4日(sat)
時間:11:00 - 19:00
休日:Mon/National Holidays
会場:MEGUMI OGITA GALLERY
Last Updated on July 13 2012
 

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