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橋爪 彩:sometimes we can't choose where we die
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 5月 08日

still life with skull | Oil on wood panel | 2011 | 80.3×100 cm (cropped)

橋爪彩(1980年東京生まれ)は東京芸術大学修士課程修了後、ベルリン、パリと制作拠点を移し、2010年より日本で 制作に取り組んできました。常に自身のリアリティから社会的意識を模索し、橋爪は抜群の描写力でその先への到達を試みてきました。昨年の個展では、ヨーロッパ滞在中に実感した西洋中心の美術への一撃として「After Image」シリーズを発表しまし た。 本展では、ヴァニタス、エロス、死をテーマにした「After Image」シリーズの新作を展示いたします。そして、もうひとつ。橋爪が自身のリアリティを持って、新たに取り組んでいるテーマが3.11です。2011年3月11日に起った東日本大震災と原発問題から、一年が経ちました。この間、確かめようのな い様々な情報が様々なメディアを通じて飛び交い、日々刻々と事態が変わっていきました。被災地から遠く離れた多くの人にとって、この大きな出来事をどのように受け止めたらいいのかわからぬまま、あの出来事がいまや早くも残 像となりかけてはいないでしょうか。このことを、橋爪は絵画に留めることを選びました。本展では「After Image」シリーズと3.11をテーマとした新作、約6点を展示いたします。何卒ご高覧いただきますようお願い申し上げます。

[作家コメント]
この個展が決まった当初は、私が近年従事しているシリーズ\"After Image\"の更なるアップデートで展示を作り上 げる予定にしていた。しかし時間とともに、今現在日本という世界中が注目する問題を抱えた国の作家である私が西洋絵画をテーマに した作品を作り続けることが必ずしも急務ではないと思い直し、手探りだとしてもあの一連を作品に昇華したい と強く感じるようになった。あまりに大きな出来事であり、絵画という瞬間を切り取る芸術が長大な時間軸で今もなお切れ目無く続く出来事 を扱うという事はとても難しいが、作家の使命として関わらずにはいられない。
本展のメインイメージになるF100号の油彩画「a lovely day」は被災したその中心の人々以外の中で、日々薄まっていく震災の記憶の可視化に挑んだ作品だ。あの日私たちは酷く衝撃を受けたはずなのに、一年と待たずどこか現実味が無く、ふわふわとぼやけてしまった。東京に住み仕事をしている私(または同じくする多くの人々)にとって手触りのない現実をそのまま画面上にアウトプットすることからまずは始めてみよう。時に残酷な現場の空気に偽りのない輪郭を与え、恒久的に未来へ残されていくことにより時代を語る装置として 美術が機能するという側面と、3.11を通して改めて向き合いたい。

橋爪彩

レセプション : 2012年4月28日(土) 18:00 ~

全文提供:イムラアートギャラリー


会期:2012年4月27日(金)~2012年5月26日(土)
時間:11:00 ~ 19:00
休日:日・月・祝日
会場:イムラアートギャラリー

最終更新 2012年 4月 27日
 

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