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Pandemonium
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2012年 2月 08日

DM(表)| 画像提供:XYZ collective

DM(裏)| 画像提供:XYZ collective

本展は、XYZ collectiveが新進作家石井友人に共同企画を呼び掛けたことから始まりました。石井が以前から関心のあった同世代のアーティストとの展覧会を、独自にキュレーションし互いに新作の平面作品を発表いたします。展覧会名「Pandemonium」(パンデモニウム)とは、“伏魔殿”や“極端な混乱と無秩序状態”という意味を持ち、“デーモンのすべて”というギリシア語に由来します。本展では、単に共通項のあるグループ展としてではなく、お互いが正面から意見をぶつけあい、わかりあえず、相違点が明確になり、やがて無秩序になりながらも、なぜか熱を帯びて一つの展覧会を築きあげようとするさまを垣間見ることができます。そこには、作家たちが作品を世に問うことへの真摯な姿勢があります。まさに展覧会名が意味するところの状況や、石井の作品に見出される要素が、「Pandemonium」というタイトルに含意されており、得体の知れない熱と緊張感を帯びた展覧会にぜひご期待ください。

参加アーティスト:青木豊 石井友人 梅津庸一 クサナギシンペイ 田口和奈

関連冊子 編集:筒井宏樹、テキスト:桝田倫広・森啓輔

[作家コメント]
昨年、世田谷にオープンしたアーティスト・ラン・スペースXYZ collectiveの同世代のディレクターから、共同で展覧会を立ち上げないかと声をかけて貰う機会があった。

毎日毎日、美術作品の制作に明け暮れていた私は、自身の制作における純粋な動機・批評精神をもとに、純然たるシンパシーを常日頃から感じ続けていた作家や書き手と共に、新たな美学的視座を孕む、絵画的可能性を問いかけるような展覧会を組織しようと決意した。それは、ひとつのユートピア的な空間を形成
していく作業に思えた。

しかし正直に言えば、数カ月にも及ぶ企画参加者とのメールでの熾烈な話し合いの中で、当初私が掲げていたメッセージは錐揉み状に叩きつぶされ、もはや雲散霧消してしまい、作家・書き手共に生な姿としてお互い立ち現われているに過ぎず、展覧会場にはある種の破綻として、沈黙としてただ作品があるだけなのかもしれない。

現在それにもかかわらず、作家と書き手の間では独自の往復書簡が横行し、私自身も名付けようのない異様な情熱が展覧会をつき動かし始めている。このようなやり取りは、展覧会と併せて発行される冊子の中に見出すことが出来るだろう。以下の文章はそのような往復運動から生まれたものとして特筆しておきたい。

―明確な意図を持たないつぶやきや独白が、偶々誰かの耳に届き、その人の心を揺り動かすこともあるように、私とあなたとの間にある甚だ不透明な関係性をブラックボックスそのものとして、扱ってみること。
それは物質とイメージとの間にある影のような何か。見ることもできず、手触りもない、それでも日々の営みを駆動する、至って素朴で、時代錯誤な剰余物。いかに世界が、あるいは私を形成する他者の欲望が、どんなに資本と消費の原理に塗れていたとしても、囲いこんでおきたい、あるいは囲いこまなければいけない何か。到底共感できないにもかかわらず、常にあなたに差し出され贈与されうる、私ならぬ私の残りもの。いわばこの存在ならぬ存在を、言葉ではなく、会場で、作品間のハレーションによって現出させられること―

あなたはその目撃者である。

石井友人

全文提供:XYZ collective


会期:2012年2月11日(土)~2012年3月3日(土)
時間:13:00-20:00
休日:月・火
会場:XYZ collective
オープニングレセプション:2012年2月11日(土) 18:00-20:00
トークイベント 「ブラックボックスから」:2012年2月26日(日)14:00-15:00

最終更新 2012年 2月 11日
 

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