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木藤恭二郎+高島進:時を刻む線―現れる面
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 11月 17日

画像提供:Gallery Face to Face

   木藤恭二郎は、平面の木に上空からみた風景や建築物らしきものを掘り込む。黒く色付けられた景色と、何も描かれていない枠状の白い空間との対比が、モノクロの写真であったり水墨画であったりを連想させて興味深い。木を掘り込む作業と、時間の過ぎていく街と、白黒の色のイメージが混じりあい、記憶の中の景色に出会ったような気持ちになる。
   一方、高島進が掴みだすものは、ペンでもデジタル機器でも記録できないものだ。尖らせた銀筆(銀製の芯の筆記用具)や色鉛筆で線を引き、次第に丸みを帯びる先端をそのまま使っていく。深く鋭く刻まれた「始まり」と、ゆるやかになぞられていく「終わり」とが、厚い紙の上に表れる。制作の時間の軌跡が、線を引く一瞬一瞬の緊張感とともに封じ込められ、自分の知らない間に流れていた時間を秘かに記し付けていた行為に思いを馳せてしまう。
   二人の作家によって刻みこまれた表現、それぞれの個性を味わいながら豊かな時間が過ごせるだろう。



最終更新 2011年 11月 19日
 

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