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薄久保香:輝くもの天より墜ち
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 18日

《輝くもの天より墜ち》2011年|oil on panel|130.0x130.0cm | Copyright© Kaoru Usukubo | 画像提供:taimatz

薄久保香
1981 年栃木県生まれ。2004年、東京造形大学造形学部美術科絵画専攻卒業。2007年、東京藝術大学修士課程修了。2010年、東京藝術大学大学院美術研究科博士課程美術専攻修了。2007年アートアワード東京(行幸地下ギャラリー、東京)、2010年「VOCA 展2010 現代美術の展望̶新しい平面の作家たち」(上野の森美術館、東京)、2011年「ヨコハマトリエンナーレ2011̶世界はどこまで知ることができるか?」等に参加。

<薄久保香の新しいシュールレアリスム>
薄久保香は新しいシュールレアリスム絵画の可能性を模索する作家です。

かつてシュールレアリスムの作家たちは、見慣れたモチーフを本来の文脈から切り離して描くことで、モチーフそのものに秘められた形而上的意味を探る実験を行いました。薄久保もまた同様の手法によって、幻想的な絵画世界を構築しています。しかしその制作スタイルに最も強く影響を与えたのは「コピー&ペースト」の作業だと薄久保は言い ます。PC 画面上で脈絡なく抽出され、貼付けられ、削除され、再び貼付けられることを繰り返す無数の断片的イメージにこそ、彼女の視覚体験の原点があります。それは、かつてのシュールレアリストたちがみせた夢や無意識への熱狂とは異なる、現代ならではの虚のコラージュともいえるでしょう。

薄久保の関心は物語や意味の探求にはありません。彼女の探求は、むしろ一切の意味を剥奪された虚構のイメージがつくりだす「触覚的な」体感や現実感へとむかうのです。描写がフォトリアリスティックになればなるほど、現実と虚構の断層は深く、挑発的な不協和音となって鑑賞者に迫ってきます。そしてそこには薄久保の、現代人が求めるリアリティとは何かという問いかけが潜んでいるのです。

全文提供: taimatz


会期: 2011年10月22日(土)~2011年11月19日(土)
会場: taimatz
オープニングパーティー: 2011年10月22日(土)18:00~20:00

最終更新 2011年 10月 22日
 

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