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桑島秀樹:TTL
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 9月 13日

《Horizontal 003》 2011年 | Lambda Print|82x290cm | 画像提供:レントゲンヴェルケ | Copyright© Hideki KUWAJIMA

大阪在住のアーティストである桑島秀樹個展、'TTL'を開催する運びとなりました。 2008年5月に開催された、’Vertical / Horizontal'以来、3年5ヶ月ぶりの新作発表/個展です。

桑島秀樹は仕上がりを綿密に想定し、慎重に並べられたグラスやデキャンタを大判のカメラにて撮影、精度の高いデジタル技術でガラスの透明感を生かした多層レイヤーを大型の印画紙に銀塩写真と同様の方法でプリントするという技法で制作しています。

曼陀羅を思わせる複雑で重厚なその画面は、内側に引き込む力強さをもっており見る人を圧倒していきます。

"TTL" (Through The Lens)
カメラという暗箱は私にとってはこの上ない自由を感じるのぞき箱なのです。
「ガラス」を見れば誰がどこからどう見ても「ガラス」と答えようものですが、ひとたびカメラという箱を通せばたちまち視覚的な「ガラス」本来の性格を何ものかにすり替える事も可能なのです。
カメラは誰が持ってもその性質は変わりませんが、別軸の要素としてその使い手に備わった技術、また極めて個人的な美意識や感情に基づいたコントロールがなされれば単純な光とモノの相関性は「作品」という狭義的でありながらも大変な魅力を持った創作物になり得るのです。
私が実制作に当たって最も頼りにしている一つの眼、すなわちレンズは立体として肉眼で得た多くの情報をファインダーという小窓に平面という体裁で表出させ、編集したい情報のみを提示してくれます。
そしてそのレンズを従えたカメラを測量機さながらに見立て、あらゆる事物を用いて組み上げ、構成、考察を繰り返す、つまり3次元と2次元との往来による行程の多層性が作品を創り上げる軸となるのです。
私は写真家ではありますが私にとってのリアリティとは「決定的瞬間」のそれをさすものではなく、レンズを通した様々な制作の工程による時間そのものがリアリティなのです。
-桑島秀樹

 

全文提供: レントゲンヴェルケ


会期: 2011年10月7日(金)~2011年10月27日(土)
会場: レントゲンヴェルケ
オープニングレセプション: 2011年10月7日(金)19:00~

最終更新 2011年 10月 07日
 

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