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大庭大介:The Light Field -光の場-
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2009年 2月 27日

"UROBOROS(woods)"、2008、 【参考作品】 acrylic on cotton、140 x 170 cm copy right(c) Daisuke OHBA / Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE

2006年の個展「LABYRINTH」(magical, ARTROOM/ART ZONE、京都)以降、08年に「ヴィヴィッド・マテリアル」展(東京藝術大学)や「THE ECHO」(ZAIM、横浜)をはじめ、年々活躍の場を広げる大庭大介。09年には「戦争と芸術Ⅲ−美の恐怖と幻影−」展(京都造形芸術大学・Galerie Aube、企画:飯田高誉氏)に参加。「樹木(woods)」「山(mount)」の風景を描き出した具象画シリーズや、グリッドをリズミカルに配した抽象画シリーズ「スペクトル」(spectrum)、さらにメッキ加工をほどこした立体作品(トロフィー)など、日本に留まらず海外の受容も含め、今後もその表現の展開に注目が集まる作家です。大庭作品の魅力のひとつは、偏光パール系の絵の具を用い、光の移ろいあるいは鑑賞者の見る位置によって「イメージの立ち上がり」や「色彩の移り変わり」が変容しつづける絵画にあります。また、近年は「カラーシフト」という新しい絵の具のもつマテリアルの特性に目を向け、自然光や見るものの視線、動線など「絵画」を成り立たせているまわりの状況までをも作品に内包させながら、鑑賞者との相対的な関係性によって立ち現れる「絵画空間」に新しい可能性を見出しています。SCAI THE BATHHOUSEでの初個展となる今回の展示では、「樹木(woods)」を描いた5枚組の大作(縦2m×横7.5m)をはじめ、「山(mount)」を描写した約7点の具象画によって構成されます。見るものはそこで、自らの身体が画面に包み込まれるかのような感覚に満たされ、一種の「崇高さ」をただよわせた絵画空間に出会います。こうした「崇高さ」は、大庭の絵画が「風景」のイメージとはもうひとつ別に、ステンドグラスにも似た「光のイリュージョン」というべき現象をとらえられていることによって生み出されているといえるでしょう。私たちはまず「樹木」「山」の風景を目にしますが、同時に作品の前に立ったときに、まるで画面の向こうから光が発せられるかのような目映いばかりの「光の世界」に立ち会います。こうした絵画空間を、展覧会タイトルにある通り「光の場(ライト・フィールド)」と呼ぶこともできるでしょう。また、今回の個展は、東京・恵比寿にあるギャラリー、magical, ARTROOMとの同時開催(2009年3月6日〜4月5日まで)となります。magical, ARTROOMでは、新作の抽象画シリーズが発表される予定です。SCAI THE BATHHOUSEならびにmagical, ARTROOMの2カ所で開催される展示は、「抽象/具象」の枠を超えた、大庭の絵画空間が織りなす「光のイリュージョン」の真髄を存分に体感していただく絶好の機会となります。「絵画」というミディアムに真摯に向き合い、その表現の可能性を押し広げる大庭大介の本展覧会にご期待ください。

※全文提供: SCAI THE BATHHOUSE

最終更新 2009年 3月 06日
 

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