編集部ノート
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執筆: 田中 みずき
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公開日: 2011年 9月 02日 |
「描く」という行為と、「触れる」という行為の意味は、ある部分が重なって、ほかの部分は別である。両者の境目を探っているのが、本展覧会だろう。 泉太郎は、スニーカーにペンを取り付けて、椅子に座って足で絵を描く。その映像が流れる横に展示されているのが、完成した絵と、ペンのついたスニーカーの実物。彼の足があった跡が、そのまま画面に残っている。そのほか、両手にペンを持って描かれた作品とその制作画像などもある。 重心を確かめながら自分の足や両手を動かしていき、人体から比べればあまりにも細いペンの先で白い画面に触れていく泉の姿に、つい見入ってしまうだろう。その、あまりにもぎこちない作画風景が、身体の在り処を探る動きに見えてくる。 一緒に展示されている額縁入りのドローイングや画集を観た後、本展覧会で描かれたものが絵画だったのか、自分に問うてみるのも面白い。
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最終更新 2011年 8月 31日 |