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名和晃平:シンセシス
編集部ノート
執筆: 田中 みずき   
公開日: 2011年 8月 15日

《Catalyst#11》(部分), 2008
Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE and Gallery Nomart
撮影:豊永 政史

久々に、度肝を抜かれた展覧会だった。ビーズで覆われた剥製の彫刻のイメージが強い名和晃平の展覧会である。本展覧会の出品作は、ビーズの作品も含め、「cell/セル」という概念に合わせて作家が出した12個のテーマに沿ったもの。個々のテーマは、「CATALIST」、「PRISM」、「BEADS」、「THRONE」、「PORYGON」、「VILLUS」、「DRAWING」、「GLUE」、「SCUM」、「MANIFORD」、「MOVIE」、「LIQUID」。これら一つ一つに合わせ、彫刻作品、インスタレーション作品が展示されていく。

具象像と組み合わせるようにして、3DCGを立体化したという、キュビズムのように角ばった巨大な発砲スチロールの彫刻があるかと思えば、水を吸収しない紙にインクを落して描いた小さな水玉のドローイング有り、多様な表現に一々驚かされながらも、根底のテーマは揺らがない。また、一室ごとにテーマがある展示室をセルに見たて、一廻りすると出口と入口が繋がる順路は展示内容に合っていて面白い。加えて、展示にはキャプションがつけられておらず、展覧会場を巡った最後に展示内容を解説したパンフレットが設置してある点も注目すべきだろう。最初は展示物の解説が無い状況で、自分が何を観ているのか考えながら鑑賞し、パンフレットを観て再度一巡する仕掛けを楽しみたい。

最終更新 2015年 11月 01日
 

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