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島田章三 展
展覧会
執筆: 記事中参照   
公開日: 2011年 8月 11日

《ノイローゼ》1957年 | 画像提供:愛知県美術館 | Copyright © Shozo Shimada

具象画壇を代表する洋画家として活動を続ける島田章三の初期から現在までの仕事をたどり、「かたちびと」と呼ばれる独自の人物像の多様な表現を展観します。

島田章三は1933年、横須賀に生まれました。小学生のときに敗戦を経験し、青年時代を戦後の混乱のなかで過ごした島田は、国吉康雄やベルナール・ビュッフェらの絵画に近づいていきます。東京藝術大学に入学した島田は、在学中の1957年、時代の不安感を抱えながら荒地に立つ女性の姿が描き出された《ノイローゼ》を制作します。初めて国画会に出品したこの作品で国画賞を受賞した島田は、近代的な造形に人間的な情感を込める具象画のスタイルを携えて画壇に登場することになりました。1967年には、明るい朱と緑の色面によって画面を構成し、光に満ちた空間のなかでの母と子の交歓の場面を描いた《母と子のスペース》により安井賞を受賞します。さらにこの頃、愛知県立芸術大学の創設に際して絵画科の指導者の一人として招聘され、また愛知県在外研修員としてヨーロッパ留学を経験します。島田は留学中に「キュビスムを日本人の言葉(造形)に翻訳」することを自らの課題として見出しました。その答えが、幾何学的に構成された日常的な情景に組み込まれた独自の人間像「かたちびと」です。

戦後日本の美術界は、海外から抽象絵画の動向が紹介され、それに大きく揺れ動かされていました。そのなかで島田はあくまでも人間像を描き続け、具象絵画の新たな可能性を探求しました。今回の展覧会では、そうして独自の絵画表現を確立したこの画家の軌跡を、油彩画・版画など全約120点により、あらためて検証します。

島田章三 略歴
1933年 神奈川県浦賀町(現横須賀市)に生まれる
1954年 東京藝術大学美術学部油画科入学(58年卒業)
1957年 第31回国画会展に初出品の《ノイローゼ》で国画賞を受賞、フォルム画廊にて初の個展を開催
1966年 新設の愛知県立芸術大学に常勤講師として赴任
1967年 《母と子のスペース》により第11回安井賞を受賞
1968年 愛知県在外研修員としてヨーロッパへ留学
1969年 留学より帰国後、愛知県立芸術大学助教授
1974年 愛知県立芸術大学教授
1976年 第29回中日文化賞を受賞
1979年 「明日への具象展」設立、第1回展を開催
1990年 《鳥からの啓示》により、第8回宮本三郎賞を受賞
1992年 愛知県立芸術大学美術学部教授を退官
1996年 愛知県立芸術大学名誉教授
1999年 日本芸術院賞受賞、日本芸術院会員
2001年 愛知県立芸術大学学長に就任(2006年退官)
2004年 文化功労者顕彰
2007年 愛知芸術文化センター総長就任(2010年退任)、横須賀美術館館長就任(2011年3月退任)

※全文提供: 愛知県美術館


会期: 2011年9月16日(金)-2011年10月30日(日)
会場: 愛知県美術館

最終更新 2011年 9月 16日
 

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